RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ぼくたちの家族@109シネマズ川崎 2014年5月24日(土)

本日が封切り初日。
席数89の【シアター9】の入りは
ほぼ満員の盛況。

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その兆候は少し前から有ったのだ。
会話の最中にココロここに在らずといった風にぼ~っとする、
ヒトやモノの名前を思い出せないし間違える、
同じ内容を何度も聞き返す。

不審に思った父『克明(長塚京三)』は
母『玲子(原田美枝子)』を連れ、
更には長男の『浩介(妻夫木聡)』にも付き添ってもらい
地元の病院を受診する。

診断結果は思ってもみなかった
「脳腫瘍で余命一週間」の宣言。

のほほんと遅れてやって来た次男『俊平(池松壮亮)』を含め
話し合いがもたれるが建設的な方向性は見いだせない。


告知された余命までのタイムリミットの中、
家族の構成員が夫々抱えている問題までもが
次々と顕になる。

四人(と『浩介』の嫁である妊娠三カ月の『深雪(黒川芽以)』)は
一致団結して、この難局にあたる・・・・・、のか、本当に?


親族が突然の病気で何らかの宣告を受ける、
死の瞬間が差し迫る、
家の整理をしている中で思わぬ事実に向き合うことになる、
そんな事象を経験したことが無ければ
実際の切迫感は判らないだろう。


ステレオタイプではあるけれど、
長男がつい頼られてしまう(長女の場合もあるが、〔8月の家族たち〕みたいに)のは
因習として理解できるし、その役目を果たそうと
頑張ってしまうんだよね。

本作でも長男と次男の間には
かなり深く広い溝がある描写となっている。

家族間の関係性として普遍的ではあるが、
狂言廻しを『浩介』としたのは正しい。


自分にとっては、あまりにも身につまされ過ぎる描写の数々だった。

頼りない父親であるとか、
他人事に見える弟であるとか、
非協力的な嫁であるとか、
長男の目線では、(ホントは違っていても)そう見えてしまう。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


全ての膿が出し切られ、
再生に向かう家族の姿は
(しかし、実際はバラバラに暮らしているので
正確な意味では最早「家族」ではないのだが)、
何とも健気で、暖かさが漂う。