RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ヒッチコック@TOHOシネマズ川崎 2013年4月14日(日)

公開二週目に突入。
席数150の【SCREEN4】は満席。

客層は全体的に高め。

男女は半々なのだが、
単独行動の比率高し。

如何にも、「映画好きなんですぅ」と言う
面構えが多いなぁ。

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タイトルの〔ヒッチコック〕から
主人公は『アルフレッド』かと思いきや、
物語の半分は彼の妻『アルマ・レヴィル』にあてられ、
一般的には影の存在であった彼女に
大きく陽を当てることで成立している。


ちょっとした映画好きであれば、
ヒッチコック』がグラマーなブロンド好きで、
撮影の間は主演女優に入れ揚げてしまうことは
当然の知識であるけれど、
ここでは更に、ピーピングの嗜好まで晒され、
実も蓋も無い感じだ。



〔サイコ〕ができるまでを俎上に、
スタジオや映倫サイドのしょーもなさを
これでもかと見せることで、
逆に我々は、こんな具合でホントに
あの世評も高い作品が完成するんかいなと
やきもきしてしまう。

『アルマ』がその製作にあたって寄与した部分は大きく(勿論、過去の作品でも)、
なまじ彼もそのことを認識しているだけに、
妻に対して遣る瀬無い感情を持ち、
それが作品に表出することで、
傑作として昇華したという筋立ては
中々に面白い。

アンソニー・ホプキンス』は特殊メイクの力も借り、
何時もながらの大仰な演技で、
巨匠の人となりを好演。

ヘレン・ミレン』も初老の人妻の揺らぐ心持ちを
いい感じに体現している。

そして『ジャネット・リー』を演じた『スカーレット・ヨハンソン』は
これなら監督ならずとも入れ込んでしまうだろうと言う
セクシーさ加減が抜群だし、
あの「シャワー」シーンの再現度は素晴らしい。

ともすれば、裏話的に終始してしまうところを
危うく踏み止まり、
夫婦愛の物語に上手く変換している
中々の佳作である。


ヒッチコック劇場〕のテーマに始まり
テーマで終わる造りの部分も
まずまず好ましいし、
全体を覆うウイットは
ヒッチコック』自身の人となりの体現なのだろう。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

終映後、聴くとは無しに
周りの会話が耳に入って来る。

ははぁ、自分は映画好きで
知識もあることをアピールする目的の
女性を連れての来場者も多かったのね。

ある意味、最適なアイテムと化していた訳だ。