RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

舟を編む@TOHOシネマズ川崎 2013年4月14日(日)

席数147の【SCREEN2】は
八割程度の入り。

公開二日目、
加えて「TOHOシネマズデイ」の割には
少々寂しいか。

客層は女性と、
それに引っ張られて来た男性が多そう。

あと、日頃映画館に来ないような
女性のグループも散見され、
上映中のおしゃべりが激しく
かなり閉口した。

イメージ 1



「玄武書房」の辞書編集に移動させられた
『馬締光也(松田龍平)』が
新しい辞書「大渡海」を完成させるまでの十五年に渡る経緯が
暖かい眼差しで描かれる。

この長い歳月には、
当然のことながら様々なライフステージの変化があり、
『馬締』自身の下宿の大家の親類『香具矢(宮崎あおい)』との出会い、
編集部に来る人・去る人、
辞書を編纂する過程での紆余曲折、
などのメルクマーク的な出来事に
印象的なエピソードを上手く貼り付け
流れる様に物語は進む。


観客は、一冊の辞書ができるまでの過程を
追体験することになる。

「ふへぇ、こんな風に造られるんだ。
こりゃあ時間が掛かるわ」と、単純に感嘆するし、
パソコンの普及が今ほどではなかった時代に
全ての作業が人力で行われていた労力を想うと
気が遠くなってしまう
(勿論、劇中には、世情の変化に伴う
それらの動きもきっちりと描きこまれている)。


原作者らしい言葉の絢、例えば
『香具矢』が登場するタイミングが「十五夜」であること、
または、
現代語の解説例として「BL」が挙げられることなどは、
三浦しをん』の嗜好を慮ってだろうと、
勝手にほくそ笑む楽しさもある。

また彼女の作品に共通することとして、
悪人は一切登場せず、最後まで安心して
観ることができるのも有り難い。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


実は、かなり意外だったんだけど、
相当泣ける内容に仕上がっている。
終盤辺りは、洟水を啜りあげる音が
其処彼処から聞こえた。