RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

フライト@109シネマズ川崎 2013年3月10日(日)

封切り二週目に突入。
席数121の【シアター3】の入りは
九割程度と盛況。

結局受賞はならなかったものの
アカデミー賞」複数ノミネートと、
新聞に掲載されている。
「感動した!」とか
「ラスト30分が凄い」等の
煽りが効いているのか。

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鑑賞前は、なぜ、そんな感動作が
「PG12」なのか、とんと見当が付かなかった。

で、本作、麻薬を吸う・注射する、
アルコールを激しく摂取するシーンが頻出する。

成る程、これは、いかんわ。

主人公の飛行機の機長『ウィップ・ウィトカー(デンゼル・ワシントン)』からし
搭乗前に、明け方までの情事、二日酔い、頭をすっきりさせるために
コカインをきめる。
そして飛行中の飲酒まで。
それらを率先して、自堕落に行っているんだから。


オークランドからアトランタへ向かうコミューター機が
飛行中、機体トラブルに見舞われる。

機長の『ウィトカー』は超絶的な技量を発揮、
なんとか不時着を成し遂げ、
被害を最小限に抑える。

しかし、入院中に採取された彼の血液からは
基準を上回るアルコールと薬物成分が検出され、
一転、ダークヒーローとなる。

事故の公聴会に臨んだ『ウィトカー』は
何を語るのか。


映画は二時間強の時間を使い、
その間の顛末を描き切る。


いや~、例によって、アメリカの審判は
その論点が判らん。

彼が飲酒をしていたことと、事故の発生には
何の因果関係も無い。

逆に、多くの命を救った立場にある。

勿論、飲酒飛行はあるまじき行為だが、
それと事故による六人の死亡が強引に関連づけられ
『ウィトカー』はその責を追及される。

一方で、狂信的なキリスト教的倫理観は
(我々にとっては不自然に見える)シンパシーを持って賛美される。

この類の描写には、
違和感があって仕方無い。

しかし、映画は、それらが当然のこととして
ハナシが進んでしまう。

振れ幅が大きいことの対比の強調なんだろうけど。


なので、世評の高いラスト30分も
その変容がしっくりこない。


中毒者の恐怖、及びそこからの回帰を描いた作品は多い。
バリエーションも多いが、流れは通底しているので、
その因果や契機をどう描くかがキモ。

過程の描写も〔失われた週末〕の様に
優れたものもあるのだが、
本作はあくまでもストレートで、
もう一捻り欲しかったところ。

評価は☆五点満点で☆☆☆☆。