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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

黄金を抱いて翔べ@チネチッタ川崎 2012年11月11日(日)

公開二週目の本作。
席数138の【CINE3】の入りは
三割程度でかなり寂しい。

客層は『高村薫』好きの女性に引っ張ってこられた
とおぼしきカップルが圧倒的だが、
中には、若い女性だけの集団もちらほら。
成る程、あなたたちが好むアイドルも
確かに出演しているね。

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原作は『高村薫』のクライムノベルにして
デビュー作。

この人の作品は、
人物の背景を含めた造形が異様に緻密で
結果として重厚になりがちな特徴があるのだが、
映画化にあたっては、それらを省略しつつ
過不足の無い描写が求められる。

過去作の〔マークスの山〕〔レディ・ジョーカー〕は
脚本・監督の力量もあるのだろう、
こなれて処理されていた。

で、本作。
二時間ちょっとの短い尺で
かなりコンパクトに上手く纏めた印象。

ただ、犯行に到る過程が厚めのため、
実際の犯罪の現場が少々忙しない感は否めない。

どうやら、監督は、
登場人物達の
家族との関わりを描くことに
力点を置いた様で、
これはアリと思う。

登場人物達の姻戚関係は何れも薄く、
犯罪組織のメンバーが次第に
擬似的に家族となって行く一連のエピソードが
物語の盛り上げには一役借っているのだが、
見ている側からすれば切なさが込み上げて来る。

一方、これらの描写も、時間の都合だろう、
ややあっさりめに描かれ、少々欲求不満ではある。


彼等の目的は、とある銀行の大阪本店の地下金庫に眠る
六トンのインゴッド。

各分野のプロが集められ、
綿密な計画が練られ、
実行に移されていく。

次々と障害が起こり、
微細な変更が余儀なくされるのは、
類似作と共通ではある。

しかし、ここで、先の(元々の)家族関係が
大きな要素となって入り込んで来る。

彼らは、目的を達成できるのだろうか?