RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ドラゴン・タトゥーの女@109シネマズ川崎 2012年3月10日(土)

原作はスウェーデン語の〔ミレニアム三部作〕。
本歌は、やはりスウェーデンで作られた三作。

時を同じくして「スカパー!」の「IMAGICA」で
一挙放送が行われた為、予習を兼ねて、一気に視聴する。

個人的な評価は、☆五点満点で、
ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 ☆☆☆☆☆
ミレニアム2 火と戯れる女 ☆☆☆★   
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 ☆☆☆☆★

兎に角、主人公『リスベット・サランデル』を演じた
ノオミ・ラパス』が、途轍も無く鮮烈。
短躯、筋肉質な痩身、そして怪異な容貌。
顔ははっきりと不細工に近いのだが、
その存在感が凄まじい。
彼女のキャスティングが、この映画成功のKEYであったことに
異論を挟む人は少ないのではないか。

加えて第一作は、
伏線の張り方、
疾走感のある演出、
謎を解く過程の描写、
何れも申し分の無い出来で
二時間半の長尺も、
緊張感を保ちながら最後まで魅せきってしまう傑作。

若干の複雑な人間関係の理解に苦しむ憾みはあるものの、
それが故に、再見・再々見が必須の一作となった。


で、本作。

イメージ 1


まず、オープニングからしてかなり違っている。
LED ZEPPELIN』〔移民の歌(のカバー)〕をバックに、
スタイリッシュ。

これが、本編の性向を象徴している。

主人公の造形が、かなりソフト化されていて、
それが、唯一のウィークポイント。

『リスベット』のカラダに彫られたドラゴンでさえ、
本家がデーモンを連想させる禍々しささえ漂わせていたのに、
こちらは妙にすっきりとしている。

周囲の人の役割やエピソードを適宜変更し、
しかし物語のメインストリームは外さない様に、
上手く設えている。

主要登場人物の紹介も手馴れているし、
ポイントとなる部分ではアップを多用し、
観客が外さないような、
ある意味親切な作りになっている。

一方、スウェーデン版が持っているダークな部分は相当薄められ
万人を意識した流れ。

が、『リスベット』の過去を語る部分をばっさりと切り捨てているので
(原題に在る「男」に対しての嫌悪感情の発露要因)、
二作目以降の脚本は
かなり練りこまないといかんだろうと、
他人事ながら心配になるのだが、
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 〕〔ソーシャル・ネットワーク 〕と
ここ二作は脂が乗っている感のある『デヴィッド・フィンチャー』だけに
若干中弛みの感があった〔火と戯れる女〕を
建て直してくれるのでは?と言った期待もある。


席数72の【シアター10】は九割方の入り。
封切り一ヵ月後にしては上々だが、
「109シネマズの日」でもあるしね。