RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

007 スカイフォール@チネチッタ川崎 2013年1月4日(金)

席数284の【CINE5】の入りは
五割程度。

封切り一か月後にも拘わらずこの状況は、
上々ではないか。

客層は、中~高年のカップルが多く、
昔ながらの〔007〕ファン
と言うことだろうか。

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本シリーズは、名画座を含め
ユア・アイズ・オンリー〕までは
大画面で鑑賞している。

ここ数作はご無沙汰だったのだが、
主演の『ダニエル・クレイグ』の評判が
滅法良い(そ~言えば、
ドラゴン・タトゥーの女〕も渋かった)。

折よく有料放送では
新シリーズの〔カジノ・ロワイヤル〕〔慰めの報酬〕が放送中。
録画視聴をして、きっちり予習をする。


しかし、『ジェームズ・ボンド』の造形は時系列でみると
相当面白い。

ショーン・コネリー』と『ロジャー・ムーア』を比較すれば一目瞭然だが、
マッチョとソフティスケィトと
ディレッタントなのは共通だが、
その振れ幅が激しい。

時代が求める「男」を体現しているのだろう。

で、『ダニエル・クレイグ』。
顔はとってもハンサムとは言えず、
不細工の部類。
が、鍛え上げた体躯は素晴らしい。
一方、振る舞いや知性の面では
どちらかと言うと粗野な印象で、
全体的な造形はアンビバレントだ。


直近三作は、
ダニエル・クレイグ』が、
ホントの『ジェームズ・ボンド』に成って行く過程を、
その周辺環境も含め、サーガ的に描いている
一連の流れと見た方が良い。

そして本作で、その構想は終了し、
新しい『ボンド』像が完成した、
マニフェスト的要素も持った作品なのだ。


のっけのシーンから
息もつかせぬほど興奮させてくれる。

斬新なバイクでのチェイス
金を惜しまずにつぎ込んだ
列車での格闘シーン。
何れも、このシリーズならではの贅沢さと
スピード感に満ちている。


懐かしの『アストンマーチン DB5』の「ボンドカー」を
意図的に登場させ、
過去の『ボンド』との決別と
新生『ボンド』の誕生を、高らかに謳い上げる。

主要人物のセリフや、
ストーリー全体の構造も
その点を示唆しているし、
なによりも、常とは異なり
攻めではなく、守る『ボンド』の造形も
今までは無かったところ。


最近は、予告篇の編集が手練れて、
どんな作品も面白そうに見えてしまう。

モノによっては、作品のキモの部分を
惜しげも無く使用し、
観終わった後で、予告篇の方が
(本編より)面白い出来なのは、ままあること。

時間と料金の両面で臍を噛むことも多いのだが、
本作は予告篇からかなりピンと来ていた。


映画についても、今まで観たものについては
漏らさず星取り表を付けており、
☆☆☆☆未満であれば
再見の価値ナシなのだが、
本作はその基準を軽くクリアする、
シリーズ中の最高傑作に位置付けられるだろう。