RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

劔岳 点の記@109シネマズ川崎 2009年7月4日(土)

監督は『木村大作』ということで、この人がカメラで参加した作品は
かなり観ている。
でも、個人的に「二度観たい」思う作品は少ない。

そんなこんなで、たいして期待しないでやって来たわけだ、
券も頂きものだしな。

イメージ 1

複数の映画が公開初日とあって、券売窓口はかなりの混雑。
こんなに人が並んでいるのは、初めて見たよ。

【シアター4】は席数175と小さいながら、九割方埋まって盛況。
年齢は少々高め。夫婦連れが多いかな。


舞台は明治四十年なので、西暦に直すと1907年。
日露戦争が終わって、第一次大戦まであと7年、
という時代背景。

正確な日本地図を完成させるため(ここいら辺に対露情勢がどう関わってくるのかが
よく分からんかったが・・・・)、唯一の未踏峰である劔岳への登頂と測量を命じられた、
陸軍測量部の『柴崎芳太郎(浅野忠信)』が初登頂するまでのお話。

が、ひたすら登るだけではなく、地図を作るための観測が併行して行われる。
先ず、事前調査を行い、周辺の適地に三角点を設定し観測、
そしてようやく劔岳への登山が行われる。

時を同じくして、やはり初登頂を目指す日本山岳会との先陣争い。
陸軍の面子もあり、事態は緊迫する。


要は、ひたすら調査し、山を登り、測量するだけ、の映画。
だが、特撮は一切無しとのことで、残酷さと美しさが同居する
自然の捉え方が素晴しい。
人間ドラマの要素も絡む訳だが、厳しい劔岳の前では些細なもの。

雄渾な世界に翻弄されながら、それでも征服する、小さな人間の営みを
神の目線で俯瞰する映画。

しかしまあ、よくこんな装備で登ったものだと感心しきり。
山岳会の装備はヨーロッパで最新のものと話されているが、
それでもねぇ。


音楽はほぼクラシック。『パッヘルベル』の〔カノン〕や『ビバルディ』の
〔四季:冬〕が効果的に使われている。

また、男だらけの本作にあって、二人の主人公の妻を演じる、
宮崎あおい』『鈴木砂羽』が一服の清涼剤。


スタッフがよく判らないうらみはあるが、エンドロールの出し方も面白い。
また、背景として次々映し出される景色も、ただひたすら美しい。