RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ワイルド7@チネチッタ川崎 2011年12月23日(金)

154席の【CINE9】は七割がたの入り。
客層は、原作をリアルタイムで知っている、
今からすれば少々高齢の男性が多い感じ。

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しかしまぁ、往年の名作漫画やアニメの実写映画化と言えば、
あの唾棄すべき〔キャシャーン〕を始めとして失敗作が多いわけで、
その中でも、本年の〔あしたのジョー〕は人物をリアルに再現することで
なされた、まずまずの佳作。


で、本作。
オープニングのスピード感が素晴しい。
銀行強盗(ただ、この犯罪自体のプロットは噴飯モノで、
〔ザ・タウン〕や〔インサイドマン〕の綿密さは欠片もないのだが)
を「退治」するまでのアクション。
そして『瑛太』がヘルメットを外して見せるニヒルな笑いは・・・・、
おお、『飛葉』ちゃんだ!!

中井貴一』演じるところの『草波』も同様。
原作から抜け出して来たのではないかと思うほどの
そっくりさんである。


ところが、一転して、公道でのチェイスシーン。
眼を覆わんばかりの出来の悪さ。
迫力の欠片もない。
日本では、これが限界なのかとがっかりさせられる。

一方、実際の駅を使用してのモブシーン。
こちらはかなり良い感じにこなれている。

「UPS]内部でのシークエンスも同様。
バイクアクションには眼を見張るものがあるのに
建物の造作が全くのチープ
(それ以前に、トレーラーをあんな所に停めるんじゃない、
ってえ怒りもあるんだけどね)。


要は、脚本自体には、最初からさほどの期待は持てない訳だから
(ある意味、最後に”殴りこみ”を掛ける
王道的作品の踏襲だから)、
どれだけリアル感を出せるかが
本作の要諦であったにも係わらず、
それがちぐはぐ、
出来・不出来の差が激しい訳だ。

これが全て高レベルで発揮できれば
近来の傑作になったであろうし、
全てが低レベルなら、駄作の極みに帰結しただろう
(が、その方が、カルト的な記憶に残る作品になったかもしれない)。


何れにしろつくづく惜しい。
規制と予算の限界を、観客の側にも
思い知らせる一作となった。