RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

オンリー・ゴッド@チネチッタ川崎 2014年2月1日(土)

封切り二週目に突入。

席数129の【CINE 2】は七割程度の入り。

「R15+」だけあって、年齢は高めに振れている。

実際には、かなり残酷な描写も散見され、
この設定は仕方ないところか。

何かとお騒がせ、評論家の反応も両極の作品だが、
こればっかりは実際に観てみないとな。

イメージ 1

バンコクムエタイのジム(と、闘技場)を経営する
『ビリー』と『ジュリアン(ライアン・ゴズリング)』のアメリカ人兄弟。

或る日、兄が衝動的に幼い娼婦を惨殺。
その後、兄も娘の父親に殺されてしまう。

一旦は復習を決意した『ジュリアン』だったが
事の次第を知り、その父親を許容する。

しかし、二人の母親『ジェナ(クリスティン・スコット・トーマス)』が
遺体を引き取る為に本国からやって来た事で、事態は一変。

『ビリー』を溺愛し、家族と共に裏社会に生きる『ジェナ』は
殺害の現場に居た刑事の『チャン』を無きものにしようと企て、
血で血を洗う抗争になだれ込む。


一連の経緯からは身を置いている様に見える
弟の『ジュリアン』だが、母や兄と同じ、情動的で
凶暴な血が流れていることは随所に提示される。

話中での科白は極力切り詰められ、
主要な登場人物達はほぼ言葉を発しない。

それでも、込み入った関係を映像主体で理解させるのだから、
監督の手腕は相当のモノ。


とは言っても、オハナシ自体は、
とても容認できる出来る流れではなく、
特にあれほどの存在感を誇った母親『ジェナ』の変容は
あまりと言えばあまりだろう。

それは『ジュリアン』とて同様。
瞑想に耽り、時として幻視をする
その逍遥とした態度は、生きることに達観をしている様にも見えるし、
実際に、ラストに向かいそれが明らかになるのだが、
一方で裏では麻薬の売買を主とする裏稼業に邁進する姿とは
アンビバレンツだ。


評価は☆五点満点で☆☆☆★。

原題は〔Only God Forgives〕。
一体この贖罪は、誰に向けてのものなのか。
タイ人の刑事『チャン』が正義で、許す存在なのか
(その割には、彼も一連の仕置きが終わる度に、
憑かれた様に「カラオケ」を唄う)。

約九十分の短い尺の中で、
登場人部達がブレブレの中、唯一変わらないのは
『チャン』を始めとするタイ人だけなのは確かなのだが。