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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

武士の献立@チネチッタ川崎 2013年12月23日(月)

封切り二週目に突入。
席数191の【CINE 10】は
八割の入り。


〔武士の・・・・〕と言うタイトル付けは
二匹目の泥鰌を彷彿とさせる。
実録をベースにした企画モノとの体裁。

しかし本作、どうしてどうして、
中々、上等の出来なのだ。


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その味覚の鋭さと、料理の腕を見込まれ、
加賀藩の台所方『舟木伝内(西田敏行)』に嘱望され
息子『安信(高良健吾)』に嫁いだ『春(上戸彩)』。

剣の道を好み、家の生業を「包丁侍」と嫌う
『安信』を、次第に家の本分に引き戻し、
立派に台所方として大成させて行く。


こう書いてしまうと、筋は一直線で
或る侍の出世譚・内助の功の誉、に見えてしまうが、
此処では枝葉を大きく張ることで、
幾つかのドラマを盛り込んでいる。

『伝内』と『安信』は実在の人物と言う。
それに「加賀騒動」を重ね合わせ、
『春』と言う狂言廻しを差し込み、
実にしっりとした、情愛の溢れる物語に昇華させている。


親と子の関係、
妻と夫の関係、
そして(時代柄の)家系を次代に伝えて行くこと、
藩を守って行くこと。

前二つは時代を経ても普遍だし、
後ろ二つは江戸時代ならではの事柄。

そうした命題を、上手く組み合わせながら、
興味を最後まで持続させている。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

高良健吾』の演技は、
あまり上等とは思えない。

一方、『上戸彩』は、
ある時は勝気で、ある時はしおらしい性格の、
元々は町娘であり、その不幸な生い立ちと、
加賀藩江戸藩邸で奉公することで救われ、
疑似的な家庭を形成することで精神の安堵を得ている
『春』の心情を上手く体現している。