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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

武士の家計簿@109シネマズ川崎 2010年12月19日(日)

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公開後随分と経つと言うのに、
席数72と小さいながらも
【シアター10】は満席。
「ポイント会員感謝の日」の効果だけでは
あるまいよ、これは。

客層は広範囲で、子供連れ迄居るのには
少々吃驚だ。


加賀藩」の「御算用者」の家に生まれた
『猪山直之(堺雅人)』は算盤をもって仕えることを
宿命付けられている。
が、それが、全くもって本人の気質に合ったらしく、
周りからは「算盤馬鹿」と言われても
逆に「算盤侍」を任じ、恥じることは無い。

そんな彼の生きようが、
破産寸前の家計を、
幕末動乱期の藩を、
そして(彼の息子が)維新の動乱期を、
持ち前の才覚で多大な貢献をしていく。


周囲の環境変動が大きいので
勘違いしてしまいそうになるが、
実はこれは親子三代に渡るホームドラマ

結婚し子供が生まれ、教育をしながら育てる。
その間に祖父母や親は亡くなっていく。
この家は、その中心に「算盤」があることが
独特の事情であるに過ぎない。

よって、物語は淡々と進む。
大きな盛り上がりも無いくらいだ。
あまりにも整然としているので、
同監督の佳作〔家族ゲーム〕の様な”嵐”を期待していると、
それは全くの外れである。

晩年期の『クロサワ』の様な、穏やかな作風は
個人的には不満だけど、真っ当に正直に仕事を続けることで、
最終的には評価され、派閥争いからも超然としていられる生き方は、
今の時代だからこそ評価されるのかもしれない。
このタイミングで映画化をしたことが手柄、なのかな。

あと、主人公の妻を演じた『仲間由紀恵』が、滅法良いです。