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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

東京家族(英語字幕版)@TOHOシネマズ六本木 2013年1月24日(木)

平日の昼下がりの映画館なんて、
こんなものだろうか。

ロビーでの待ち客は、
休日とは異なりぱらぱら。

そんな中で表題作を上映している
席数124の【SCREEN4】は
三割程度の入り。

空席がかなり目立つものの、
前述の要素を鑑みると、かなり健闘している部類。

で、あれば、巷で喧伝されている様に
かなりのヒット作と言うことになる。

ちなみに、封切り一週目。

客層は中高年のカップルが多い。
主人公達に、間近な自分達の姿を
重ねているのかもしれない。

イメージ 1


なんとまぁ「英語字幕版」である。
当然、通常上映の劇場希望だったのだが、
時間の都合がつかなかった。

【六本木】らしいと言えばそれまでだが、
矢張り英語の字幕にちらちらと目が行ってしまう。
洋画を観る時の、習性だもんなぁ。

笑ってしまったのは、字幕が先に出て、
日本語が後から追い付いて来るので、
科白が先に判ってしまうことで、
これは二つ目の弊害。

それにしても、外人さんなんて、
場内に独りもおらんかったぞ。
何のための措置なんだろう。


物語は〔東京物語〕をなぞって進んで行く。
勿論、細かい背景は現代風に変更されている。


瀬戸内海の小島から
老夫婦-この年齢設定がかなりムリがあり、
現代の68歳は、もっと矍鑠としてるだろうーが
東京に住む三人の子供達を訪ねて回る。

診療所を開いている長男、
美容院を経営している長女、
そして、フリーターに近い生活をしている次男。

先の二人の家で厄介になっている時には、
些細な行き違いから、親子の間で不協和音が起きる。

一方、末っ子の家では、嫁となる女性-原作では
戦死した息子の嫁。実際は血の繋がりの無い、
赤の他人。『原節子』が演じていた-と、細やかな情交が生まれる。

そして、一通りの目的を終え、
帰京しようとしていた矢先に事件が起きる。


『小津』版へのオマージューであり、
リメークであるのとは情報は事前に得ていたが、
ここまでやるか、と言うのが正直な印象。

オープニングからして、昔の「松竹映画」のそれ。
イマドキのデザイン化された富士山の姿は微塵も無い。

そして、風景のカットが2~3片挟み込まれ、
本編が始まる。
また重要なシーンの前には
必ずこれが行われる。

カメラは固定されて動かない。
なので人物は障害物をなめる様に撮影され、
更に画面から掃けたり切れたりする。

そして
ローアングル、
バストショット、
会話場面での細かいカットの切り替え、
人物達の独特の視線と台詞回し。

全てが、『小津』調とされる
それである。


観た事が無い人には新鮮に映るかもしれないが、
見慣れた目には少々、奇異に感じる。

エンドロールも縦書きなのだが、
これが昔よりも紹介すべき人物が多いため、
相当見難くなっている。
スタイルを優先したことの障害
と言えるだろう。


原作は、残されたものの寂寥感がじんわりと沁みて来るが、
本作は泣ける脚本となっている。
それが最大の差か。

しかし家族のカタチと言うのは
六十年経っても、意外と変っていないことを
再度、認識もする。

また、数箇所ある「3.11」についての言及は
唐突感が拭えない。
キモチは解るけどね。


評価は☆五点満点で☆☆☆★。

最後に出される『小津』監督への献辞が
山田洋次』の心情なのだろうが、
全てが追いついていない印象。