RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

渇き。@チネチッタ川崎 2014年7月21日(月)

封切り四週目に突入。

上映館も減って来た現時点では
「R15+」のレイティング故か、ほとんどが
夕方~夜の上映となっている。

席数138の【CINE 3】入りは七割程度。
客層は不思議なコトに男女のカップルが大半を占める。


イメージ 1


痴情のもつれから事件を起こし、
依願退職をした上に、妻子と別れさせられた
元警察官の『藤島昭和(役所広司)』は、今は警備員をしながら糊口を凌いでいるが
或る日、別れた妻から
娘の『加奈子(小松菜奈)』が行方不明になったと連絡が入る。

嘗てとった杵柄。
自分から娘を探すことを決断した『昭和』だが、
調べが進むにつれ、親が知らなかった娘の行状が次から次へと明らかになる。

物語は、娘を探し奔走する父親の苦闘と
娘がしでかしたコトの謎解きとを並行して描きながら
終焉へと疾走する。


現在と複数の過去を
カットを繋ぎながら描く手法は、
意図的に時系列をバラバラにしているため、
整理するのに若干手間取るも、
謎を深め、同時に観客の期待をはぐらかす役目も負うている。

汗と血が過剰に飛び散り、時としてアニメ、
時として擬音がレタリングで挿入される演出は
賛否が分かれるだろうが、
他とは一線を画すハードボイルド的な描き方として
個人的にはかなり気に入った。


主要な登場人物達の造形は極めてエキセントリック。
特に主人公の『昭和』は、こんな人間が傍に居たら
さぞかしい鬱陶しいだろうと、長髪を振り乱し
汗をかき、娘捜しに義務感の様に邁進する。

居なくなった娘の姿が次第に明らかになるに連れ、
父親の血筋を継ぎ、生き方を踏襲していることを想わずにはいられない。


それにしても、登場人物達は良く汗をかく。
それがタイトルの〔渇き〕と直結するかのように。


しかし、よくよく考えて見れば
本作では限りなくディフォルメしているため
極大化して見えるが、実際は
自分の子供が外でどんなことをしているかを
逐次把握している親なんて、皆無ではないだろうか。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


ただ一点問題が。

多くの登場人物が夢中になってしまうと表現される、
『加奈子』を演じた『小松菜奈』の魅力がさっぱり理解できず、
同じカエル顔であれば他にも演じ手は居たのではと。
ミスキャストでしょ、これは。