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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

僕達急行 A列車で行こう@品川プリンスシネマ 2012年4月16日(月)

【シアター4】はかなり変わった造作。
HPの文章をそのまま引用すると、
「プレミアム館。ゆったりサイズ、プレミアムシートが特長。
前後のシート間隔が140cmあるため、足を伸ばして
ゆっくりとご鑑賞いただけます。
プレミアムシートは長時間の映画鑑賞でも疲れない
ゆとりのシートです。真ん中のひじ掛けを上げれば
ペアシートに大変身!」

成る程。だから売り場の御姐さんは、
一人客の場合は、席が一個以上離れる様に
差配してたのね。

が、席数96の小屋の入場者数は、
自分以外に十人と、淋しい限り。
まあ、平日の昼下がりの映画館なんて、
こんなものか。


イメージ 1


森田芳光』監督の遺作は「鉄分」に満ちている。
それは登場人物の名前が、全て列車の名称であることからも
窺い知れる。

ひょんなことから知り合いになった
大手のデベロッパーに勤める『小町圭(松山ケンイチ)』と
蒲田の小さな町工場の息子『小玉健太(瑛太)』の
「テツ」を仲立ちしたふれあいと
仕事上での再生が爽やかに語られる。


ここでの監督は、
1950~60年代の映画を意識している様だ。

それは、やや荒く、少しボケた画質。
出演者の台詞や立ち居振る舞い。
バストアップやパーンを多用したカメラワーク。
全てに顕われている。

加えて、『クレージー』のそれや
〔釣りバカ〕に見られる、
芸や人間関係が(特にサラリーマン社会に於いて)身を助ける次第を、
「テツ」を混ぜることで、よりソフトに表現している。
ぎらぎらしていない、草食系とでも言うのか。
「平成」のサラリーマン物語をさらりと描いている。

会話の妙味や擽りは往時の〔家族ゲーム〕や〔の・ようなもの〕
を彷彿とさせる。
が、その時には在った、台風の様な破壊力は無い。

カラダの衰えがそうしているのかもしれないが、
伊藤克信』が姿を見せているのも、
どうにも暗示的だ。

何れにしろ、我々は、また大きな才能を一つ
早くに失ってしまった。