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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

百瀬、こっちを向いて。@チネチッタ川崎 2014年5月23日(金)

封切り二週目。

席数107の【CINE1】の入りは二割程度。


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処女小説が文学賞を受賞したことで
母校での講演会に招聘された『相原ノボル(向井理)』は
十余年ぶりに故郷の街に戻って来る。

そこで偶然、高校のマドンナ的存在だった『神林徹子』に再会したことで
忘れることのできない過去に向き合うことになる。

現在の二人の会話と、
高校時代の印象的な出来事が交互に描かれ、
我々は(往時の)『ノボル』の想いを追体験する。


事の起こりはやや強引。
十五歳の『ノボル(竹内太郎)』が、
幼馴染の兄貴的存在『宮崎瞬(工藤阿須加)』の頼みを聞き入れ、
二股をかけていた相手『百瀬陽(早見あかり)』と偽装で交際することになる経緯。

それでも、以降については、そんなことはどこかに吹っ飛んでしまう程の
切ない描写の連続で、
もう、観ている側としては心臓がぎゅぎゅっと鷲掴みされまくり。

タイトルの〔百瀬、こっちを向いて。〕は、彼の気持ちを暗喩で表しているのだと
中途までは考えていたのだが、その感情が爆発する、もっと直接的な場面があり、
でもそこでは、つい涙腺が緩んでしまったと素直に白状する。


主演の『早見あかり』は、演技の面では未だし。
しかし、一度見たら忘れられない外見と
独特の雰囲気で強烈なインパクトを残す。


誰でも一つは二つは、心に刺さっている棘や
慚愧の念が残る出来事は在る筈で、
本作はそう言った普遍的な記憶を
『ノボル』が『百瀬』に寄せる感情で表現し秀逸。

観ている間も勿論、その後でも
皆、自分の昔を思い起こすことになるだろう。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


ラストが近づくにつれ、
我々の胸中には想定される幾つものエンディングが去来する。

実際に眼前に展開されるそれは
ベストのものではないかもしれない。

が、余韻を残すには十分だし、
なによりもこれで、話中の切ない気持ちが増幅される効果で
素晴しい選択だ。