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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

桐島、部活やめるってよ@TOHOシネマズ川崎 2012年8月11日(土)

本日が封切り初日。

でも、席数112の【SCREEN8】の入りは
六割程度で、少々淋しい。

事前の評がかなりぶれていることが
影響しているんだろうか?
でも、製作者サイドも、それを逆手に取っている
節も見えるが・・・・。

客層は、原作を読んだのであろうか
若いカップルが多いのと、
小さい子連れの母親も散見され、
何か勘違いしてるんじゃないかと、
ちょっと心配になったりする。

イメージ 1


ある地方の、豊かな自然に囲まれた
『松籟高校』。
そこの二年生で成績優秀、バレー部のキャプテンでもある
『桐島』が、突然退部をするという噂が駆け巡る。

そのことが、同級生の中に、静かな波紋を広げて行く。


観終わって、「巧い」と唸ってしまった。

同じ出来事を異なる側面から描き、
その裏側に潜むものを炙り出す
のは、良く有る手法。

しかし、それにカメラ回しの妙も加える事で、
更に、深長な意味合いを持たせている。

所謂、どんでん返し、ではないが、
伏線は縦横に張られている。


チラシ等にフィーチャーされている映画部の部長『前田』
を演じる『神木隆之介』は、勿論『桐島』では無く、
狂言廻しでも無い。

しかも、103分という短尺ではあるものの、
描かれているのは、僅か五日間の出来事。

『桐島』の突然の行動は、校内を揺るがす事件の様に感じられるが、
実は、彼の周囲の数人と、バレー部の、
しかも同級生だけに与えられたインパクトで
全校にとっては瑣事でしかない。

それらが、恰も大事であるかのように視せられてしまう、
監督の術中に、我々は既に嵌まっている。


『桐島』が与えたさざ波は、同級生達の
隠れた関係性を顕わに引きずり出す。

表面的には仲が良かったり、
恋愛関係が続いている様に見えても、
その裏では、思いもかけない、
又は自分でも気付いていない気持ちが動きかけている。


彼がとった行動は、実は触媒にしか過ぎず、
それによって引き起こされた予想外の情動を
現代的に描いた群像劇であるのだ。


過去三作も上々ではあったが、
本作が、おそらく、(現時点では)『吉田大八』の代表作と位置付けられるだろう、
それ程の出来である。