8.6号の「AERA」、
「現代の肖像」で、本作の監督『ヤン・ミンヒ』が
取り上げられている。
「現代の肖像」で、本作の監督『ヤン・ミンヒ』が
取り上げられている。
作品の公開を睨んでのことと思うが、
これを事前に読めば、物語の背景が更に理解できる。
これを事前に読めば、物語の背景が更に理解できる。
この映画は彼女の実体験を基にした「私映画」であり、
『ヤン・ミンヒ』が失くした「兄」は
実際には三人であったことなども
我々は知る。
血を分けた兄弟だけでなく、国家への揺らぐ信頼や肉親への疑念。
彼女の喪失感は
如何程のものだっただろう。
『ヤン・ミンヒ』が失くした「兄」は
実際には三人であったことなども
我々は知る。
血を分けた兄弟だけでなく、国家への揺らぐ信頼や肉親への疑念。
彼女の喪失感は
如何程のものだっただろう。
封切り初日、しかも一回目の上映で鑑賞。
席数72の【シアター10】は満員。
客層は、圧倒的に高齢者が多い。
自分などは、この中では若い部類なのではないか。
しかも、夫婦連れの比率が高いのも特徴的。
席数72の【シアター10】は満員。
客層は、圧倒的に高齢者が多い。
自分などは、この中では若い部類なのではないか。
しかも、夫婦連れの比率が高いのも特徴的。

ただ、今回の訪日は
脳にできた腫瘍を手術する為であるにもかかわらず、
日本での滞在は三ヶ月との短い期間に限定され、
更に24時間の監視が付くものだった。
脳にできた腫瘍を手術する為であるにもかかわらず、
日本での滞在は三ヶ月との短い期間に限定され、
更に24時間の監視が付くものだった。
両親は勿論、在日の友人達と旧交を温める『ソンホ』だったが、
脳の腫瘍についての医者の見立ては芳しいものではなく
加えて突然の悲しい通知が届く。
脳の腫瘍についての医者の見立ては芳しいものではなく
加えて突然の悲しい通知が届く。
役者が良い。
ディテイルの描写にも感心させられる。
監視員の『ヤン』が、出されたコーヒーに
砂糖をスプーンに大盛りで数杯入れて飲み干すシーン等は、
監督の観察力の細かさが際立っている。
砂糖をスプーンに大盛りで数杯入れて飲み干すシーン等は、
監督の観察力の細かさが際立っている。
基本、手持ちのカメラを使い、
微妙なブレが時に激しく、時に緩やかに見られ、
それは、その場面の人物の情動とシンクロしている様だ。
微妙なブレが時に激しく、時に緩やかに見られ、
それは、その場面の人物の情動とシンクロしている様だ。
多用される長回しも、画面に緊張感を与えるのに効果大。
兄との別れのシーンに象徴される、
権力に対する、やり場の無い思いを
表面的には静謐に、しかし熱さを内包して描いた傑作である。
権力に対する、やり場の無い思いを
表面的には静謐に、しかし熱さを内包して描いた傑作である。