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フレンチ・ウィンドウ展@森美術館 2011年5月4日(水)

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「震災」のため、開催日が後ろズレしたが、
その分終了日程も日延べされたので、
会期自体には余裕がある。

同時に、その影響で、
一部出展作品に変更がある旨は、
Web上でも、入場口脇にも掲示され、
多少残念ではある。

また、展示物は(他館同様)厳重に縛られていたし、
実際はモーターで回転する作品も、
電源コードを抜かれていた。

時として余震も起きている現時点では、
53階の高層での美術展
かなり怖い気もするし、
展示内容が{現代美術}であることを考えれば、
そんなに混んでいないだろうと踏んでいたのだが、
思いの外、入りは良い。

ただ、前述の理由で展示品がかなり減ったためもあるのだろう、
比較的ゆったりと置かれているのに加え、
多くの人が「アートだねぇ」とか
「さっぱり判らん」等と呟きながら足早に通り過ぎるので、
二重の意味で、かなり余裕を持って鑑賞できた。


とは言うものの、自分だって、
さほどの鑑賞能力があるわけでは無いので、
展示品に添えられている
タイトルやキャプションが頼り。


で、今回は素材に注目して観ると
更に面白い。

マルセル・デュシャン』の〔泉〕。
素材は「小便器」。
素晴しい。そのまんまだ。
それに幾つかの文字を添加して、
「芸術」と括ってしまう力技。

カミーユ・アンロ』の〔テヴォー〕。
素材は、消防のホース。
それを連結し、両端を巻き上げてある。
少し離れて見れば、おお、これは
「∞(インフィニティ)」。

『ミシェル・ブラジー』の〔柔かい小石〕。
素材はキャンディー。
溶かして再形成し、マーブル模様の
巨大な碁石の様な形態に纏めている。
舐めると甘そうだが、
2003年の製作だから、
お腹をこわすかも・・・・。


更に素晴しいのは
『サーダン・アフィフ』の〔どくろ〕。
部屋の天井一杯に、白・黒・茶色の正方形パネルが、
一見無造作に貼られている。
床面には、大小の銀色に輝く鏡面の球体が、
これも無造作に転がされている。
指示に従って、球体を覗き込むと・・・・、
おお、髑髏が映っている。
天井の模様が球面に映りこむことで、
人間の頭蓋骨に見えるわけだ。
しかも、どの球体を、どの角度から見ても、
多少の歪みはあるものの、
髑髏は厳然として其処に在る。
何と言う、精緻な計算。

それ以外にも楽しめる作品が多く、
十分に時間を掛けて回る価値アリ。


勿論、
「デュジャン賞にみるフランス現代美術の最前線」
とサブタイトルにあるように、
入場して直ぐのコーナーには
『デュジャン』の作品で占められた一角もあり、
初っ端から頭を抱えてしまうこと請け合い。



一般の入場料は1,500円だが、
今回のチケットは頂きモノ。

時節柄か子供連れの入場者を多く見かける。
子供達は妙に知った風をしないで、
単純に「わ~い」と喜びながら観ている。
彼等の方が、余程楽しみ方を
知っているのかもしれない。