RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

NINE@109シネマズ川崎 2010年3月19日(金)

事前のWeb予約では、スペシャルシートが確保できなかった。
よくよく考えたら、シネマポイントカードデイに加え、
今日が初日なんだね、この映画。

当然ながら、キャパ121の【シアター3】は満席。

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舞台版ミュージカルの映画化作品。

フェデリコ・フェリーニ』を思わせる映画監督の『グイド・コンティニ(ダニエル・デイ=ルイス)』は
新作映画のクランクインを目前にして、大スランプに見舞われている。
タイトルこそ〔ITALIA〕と大上段に振りかぶったものの、
脚本すらできていない。

過去には素晴しい作品を撮った、と評価されているものの、
最近の作品は自分でも納得できず、
才能が枯渇したのではないかと、疑心暗鬼に捉われている。

一方、私生活は妻(『マリオン・コティヤール』)と愛人(『ペネロペ・クルス』)の間を
どっち付かずでふらふら。
それもストレスを増幅させている一因。

そんな状態にお構い無く、
周囲はセットを造り、オーディションをし、
記者会見を開き、衣装まで出来上がりつつある。
彼はいよいよ(私生活も含め)抜き差しならない窮状に追い込まれて行く。


基本的には、父親が〔8 1/2〕、母親が〔ALL THAT JAZZ〕と感じた。
彼が見る妄想や、過去の記憶も含め近似している。
繰り返し現われる母のイメージも然り
(母役の『ソフィア・ローレン』の存在感が強烈。老いは隠せないものの、
そこに在るだけで、威風辺りを掃っている)。

現実と幻想(これが、ダンスや歌のシーンで表現される)、過去を往還しながら、
テンポ良く物語りは展開される。
途中、〔甘い生活〕を思わせる、「パパラッチ」の場面も有り、
思わずニヤリとさせられる。
更に、『ニコール・キッドマン』も加わった出演人は、キラ星の様だ。

でも、何と無く感情移入できないのは何故だろう。
彼の服装はそのままだが、風貌は〔8 1/2〕の『マストロヤンニ』では無い。
先に挙げた部分を含め、引用はあるものの、『フェリーニ』の作風とは似つかない。
ミュージカルシーンへの移行はスムースなものの、ドラマシーンとの差がありすぎて、
心なしかギクシャクしている。
が、パワフルなダンスシーンはそれだけで一見の価値有りだがな。