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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

イン・ザ・ヒーロー@TOHO 日本橋 2014年9月15日(月)

封切り二週目。
席数110の【SCREEN2】は満席の盛況。

中でも目立つのは若いお母さんが
娘と連れだって来場している姿。
一体、どちらがどちらのファンなのかな。

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主演俳優が〔仮面ライダー〕や〔スーパー戦隊〕で
実際にスーツアクターだった過去が何かと話題の本作。

劇中での、サウナで裸を晒すシーンからも、
引き締まった面立ちからも、
かなりカラダを絞って撮影に臨んだのはありあり。

また、『ブルース・リー』好きとか
対戦型格闘ゲームとの係りとかも、
自身のそのままを
主人公に投影しているのだろう。

要は本作は『唐沢寿明』の為の一本だ。


映画撮影の内幕を扱った作品に秀作は多く
アメリカの夜〕は言わずもがな、
邦画でも〔蒲田行進曲〕という
映画への、そして裏方への愛に溢れた秀作がある。

そんな記憶に頼りながら観すすめていると、
おやおや、彼の作品にかなり類似しているではないか。

しかも終盤に近付くに連れ、その度合いも増して来る。
これはどうしたことだろう?

ムリなアクションに挑む背景は別のハナシとしても、
その心意気は両者で違わない。

そして結末についても言わずもがなだろう。

ただ残念なのは、渾身のアクションに臨むシーンで、
その高さの感覚を十分に生かし切れていないのと、
いみじくも作中の監督が「ワンカットで」撮り切ろうしたのに、
かなり細切れにされていること、更には
幾つかの合成が使用されいいることは、興味を削ぐ材料なのだが。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

スタッフの、自分達こそが映画を造っているんだと言う熱い矜持と、
仲間同志の強い想いが、笑いの中に隠されながら描写され、
度毎に我々の胸に熱いものが込み上げて来る。

鼻っ柱の強い若手俳優を演じる『福士蒼汰』を諭す一連のエピソードで
映画製作はチームプレイであり、裏方の存在も含め大事にしないと
一本たりとて完成しないのだという件は、
エンドロールが流れる中、本編の監督役の『イ・ジュニク』が
「映画は監督のもので、プロデューサー等が作品をダメにしている」との言と相俟って、
妙に頷けるものがある。


考えてみれば、『キートン』にしろ『チャップリン』にしろ
サイレントの傑作は、何れも素晴らしい身体表現をベースにしたものではなかったか。

実はこれは『唐沢寿明』の想いかもしれない。