RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ホットロード@チネチッタ川崎 2014年8月23日(土)

封切り二週目に突入。
席数191の【CINE10】の入りは八割程度で盛況。

客層は小学生くらいの女子の集団から、
六十近い夫婦連れまで幅広い。
主演の『能年玲奈』効果だろうか。


正直、本作、その客層に
もの凄く興味があった。

何故って、自分はその昔『別マ』派だったから。
くらもちふさこ』は大好きだし、
『ぶ~け』に連載を持っていた『水樹和佳』や『内田善美』は勿論だ。


で『紡木たく』である。

鮮烈なデビュー作だった。
シンプルな線で構成されるその画力といい
『別マ』連載らしからぬそのテーマといい
「おれわぁ」などの独特の科白回しといい。

かと言って、好きだった?と聞かれれば、
それほどでもない。

その題材に共鳴するには、
歳を取り過ぎていたのかもしれない。

テーマにしろ主人公の心情にしろ
共感できなかったことを記憶している


イメージ 1


で、その思いは映画化されても
やはり変わらなかった。


どうやら、監督は漫画の世界を
そのまま再現することを試みた様子。

主人公が履く長いスカートや
当時のバイクや車はまるっと再現されている。

しかし、どうにも、それらの後ろには
現代の影が透けて見える。

書き割りの裏に別世界があるように、
奇妙な居心地の悪さは、最後まで消えない。

要はかなり薄っぺらな時代構成をしてしまった、
ということだろう。


心配していた『能年玲奈』の演技はなかなかのもの。

ただ元々科白の少ない作品であることに
助けられている部分があり、
それは他の役者についても同様。

一番素晴らしかったのが
主人公の母親を演じた『木村佳乃』で、
大人にも、母親にも成り切れない、何時までも中学生時代の想いを引きずる
ダメダメさが素晴らしい。

が、全体的にみると二時間の尺を使いながらも
『和希』が『春山』に「おいてかないでぇ~」と言うほど
強い結びつきを作る過程がすとんと腑に落ちるほど描き切れてはおらず、
まことに残念な一作。


ただ、
評価は☆五点満点で☆☆☆★。

ラストに向けての盛り上げ方は、
流石〔僕等がいた〕や〔陽だまりの彼女〕で培った
青春モノを表現する技量が生きた感がある。