RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

いせ@大森:天ぷら

予約はしたものの、こちらの都合で行けなくなったり、
一週間前に電話を入れても希望日は満席だったりと
三度目の正直で漸く訪問。

場所は【ヨーカドー】と【大森海岸】
に挟まれた古い街並み残る一角

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ちなみに今年の「ミシュラン」では☆一つを獲得している。

店内はL字型八席のカウンターと奥に座敷。

当日は19時の予約で、我々の到着で
丁度満席に。

既にコースが随分と進んでいる客もおり、
一体何時から食べてるんだろ。

おまかせ


と、三種あるコースから
「榎」7,500円を選択。

食べ切れないかもしれない、という連れの弁に従う。


飲み物は、生→瓶と、ビールオンリーで。
酒の値付けは、やや高め。
大体、市価の倍程度と見た。

ワインはハーフの赤・白が各一種類。


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予めセットされているのは、つけ汁・塩・柑橘。
つけ汁は出汁を入れ煮切ってあり、それだけでも十分な旨味。

そして店内の調度品も勿論だが、
器類も相当に趣味が良い。

蛸唐草の箸置きは、自分の前には藍、
連れの前には赤と気も利いている。


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《先附》

初手から凝ったものが出てきた。
椎茸の柄などを細く裂き、
甘辛く煮て練り合わせてある。

確かに濃い味付けだが
素材本来の旨味も十分に感じるし、
何よりも、手が掛かっている。

それにして、これは酒がススム。


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《骨煎餅》

才巻海老と穴子
何れも軽くさっくりと揚がっているが、
特に穴子は素晴らしい。

これを煮詰めて、ツメを作るというだけあって
骨にも旨味が凝縮している。

それを、揚げ煎餅の様に軽く食べさせる。
上々の導入部。


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《才巻海老》

定番だよね。
当たり前だが、尻尾もきちんと処理されている。
ほくほくとした甘みのある身は、やはり最高だ。

(海老は計二尾、供される)


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《たらの芽》

やや遅いかもしれないが、季節感を感じる一品。

独特の香味が口中に広がる。
そしてさくりと良い歯応え。


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《茄子》

茶巾に包丁が入り食べ易い。
熱々をがぶりといくと、ほふほふ、と旨い。


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《細魚》

これも捻る細工が施され、見た目美しい。
大きく、身も厚く、独特の旨味もいい感じ。


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《椎茸》

大きい。しかも傘も厚い。
季節に関係ない一品だが、
これを食べると嬉しくなる。


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寡聞にして、初めて目にする山菜。

葉の部分はぱりりと揚がっているが、
根の部分には特有の鮮烈な苦味。

ああ、なんか血が綺麗になる気がする。


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《アスパラガス》

ぼちぼち旬か。

随分と太いが、繊維は気にならない。
かりっとした食感。らしい味。

これからの季節は、これだね。


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《鯛の白子》

「熱いですから、少し冷ましてから
召し上がり下さい」と店主。

でも待ちきれずに一口に齧り付くと・・・・、
あちちちち、中はとろりと旨味が流れ出す。

口の中を火傷してしまったが、それだけの価値は
十分にある。

それにしても、この大きさ。
元の鯛はどれほどのもんだったんだろ。


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穴子

一本をまるごと揚げ、二つに割って供される。
片身は塩で、片身は汁で、との指示。

これも身が厚いし軟らかいしほくほくだし、
コースの掉尾を飾るには十分な素材。


コースはこれで終了なのだが、
もうちょっと食べられそうだったので、
お好みで幾つかを追加する。

最早品切れの素材もあり、
必ずしもリクエストが全て叶ったわけではない。


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《あおり烏賊》

それにしても身が厚い。

それでいてさっくりとした歯応えは嬉しい。


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《玉葱》

目の前に置かれた途端、
玉葱の香りがふわっと薫る。

それも、フライにした時の様なきつさは無く
あくまでも甘い軟らかなそれだ。


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《公魚》

随分と大きい。そして、しっかり卵を孕んでいる。
頭からがぶりとやれば、淡水魚らしい旨味。


ここからは食事になる。

三種提示された中から《かき揚げ丼》を選択。
それ以外に、《赤出汁》と《香の物》が付く。

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海老と小柱の《かき揚げ》は言わずもがな、
《赤出汁》も蜆の旨味がたっぷり。
《香の物》も鮮烈で口の中がさっぱりする。


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《デザート》

酢橘のシャーベット。

果汁をキチンと使ったことが判る
やや酸味のある爽やかな味。


お会計は〆て、約2万円。


評価は、高級店基準の☆五点満点で
☆☆☆☆。

接客も仕事ぶりも丁寧。

例えば揚げ油も、自分達が居た約二時間弱で
二~三度替えている(油は癖のないモノをベースに
計三種程度をブレンドしている様子)。


ただ、不満が無いわけではない。

油を替えている間は、当然、揚げる手が止まるわけで、
若干滞る。

また、一連の流れで供されるので、
中途から入った我々のケースでは
最初の《骨煎餅》が供されるまで15分、
更に次の《海老》が供されるまでも15分を要している。

その間の凌ぎが欲しかったが、
ま、難しいだろうな。