RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

MONSTERZ モンスターズ@109シネマズ川崎 2014年6月1日(日)

封切り三日目。
席数121の【シアター5】の入りは
ほぼ満員の盛況。

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視界に入った人間を自分の意のままに操る能力を持った
名前の無い『男』を『藤原竜也』が好演。

藁の楯〕以降、異常な人格の青年役が続いているが、
本作も憎々しげに演じきって素晴らしい。

が、そのチカラは、使う度に自分のカラダに
あるリバウンドを引き起こす、所謂、等価交換
(それを示すシーンは観ていて背筋が寒くなった)。
なので、おいそれと行使するわけにはいかないのだが、
やむを得ず、続けて使う必要に迫られる。


それは突然現れた、嘗て無かった自分のチカラが及ばない男の存在。
『田中終一(山田孝之)』にだけは、
自己の能力が効かない初めての経験。

『男』は『終一』に恐怖を感じ、自分の世界から排斥しようとする。


一方『終一』も、人並み外れて頑健なカラダを持ち、
常人であれば瀕死となる怪我も
数日で回復してしまう
(ただ、その描写はギャグと紙一重
自分的には『犬神明』を思い出したが・・・・)。

その意味では彼も「異能」の『男』であるし、
自分の特殊性の為に、あるトラウマを抱えている。

そんな二人が、『男』は他の人間を操ることで、
『終一』は自身の肉体で、ぶつかり合う。


本作は幾つかの前提の上で成立している。
その最も大きなテーゼが『男』の『終一』に対する敵意で、
実際はムシを極め込めば、今まで通りの平穏な暮らしがおくれたはずなのに
ムキになって執着する。

ただ、『男』の圧倒的な孤独を示すシーンが冒頭あり、
その時に出会った『終一』は、
自分の能力が通じない=やはり異端の存在のハズなのに
社会で安穏と暮らしている(ように見える)。
それは許容できない存在なのだろう。

これらを是として呑みこまないと、
荒唐無稽な世界観の作品と
唾棄してしまう。


オープニングとエンディングの
タイトルの提示の仕方が上出来で
二人の物語であることを強くアピールしている。

間抜けな警察の捜査態勢も相俟って、
最後まで予断を許さず、畳掛ける如くシーンを繋いで行く流れは、
背筋を伸ばしたままでの緊張感を要求する、
鑑賞者にとってもタフさが必要な、しかし、素晴らしい一本。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


日本一不幸せが似合う女優『木村多江』が
『男の母』として出演している。

もう初っ端から不幸が起こりそうな予感満載で
最高の起用だ。