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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

アルバート氏の人生@TOHOシネマズシャンテ 2013年2月14日(木)

席数190の【CHANTER-3】は満員。

封切り一か月後でこれは、
いくら「TOHOシネマズデイ」と言っても凄い。
でも、今日で終映なんだよね。
その影響もあるんだろうか。

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〔101〕での『クルエラ・デ・ヴィル』は
アニメの世界から飛び出して来た如くの
生き写しの怪宴だったが、
本作では、男性(のフリをする女性)を演じて
それが出色の出来。

更に、製作・主演・共同脚色・主題歌の歌詞もこなす
八面六臂の活躍。


似たような設定は『ジュリー・アンドリュース』の
〔ビクター/ビクトリア〕があるけれど、
明るく楽しい造りとは、本作は
かなり趣を異にする。


アイルランドのダブリンのホテルに住み込みで働くウェイター
アルバート・ノッブスグレン・クローズ)』は、
その卒の無い態度から、客は勿論の事として、
女主人や同僚からの信頼も厚い。

が、『ノッブス』は、実は女性。
生きて行くために、世間を欺き、
長年に渡ってそのことを隠していた。

また、彼女には夢があり、
それを叶える為でもあった。


自動車も無く、更にチフスが流行していることから
舞台は1800年代前半、だろうか。

実際に、イギリスに行って現地の人と話してみればわかるが、
現代に於いても、彼の地で「階級」は厳然として存在する。

なので、当時は、今よりも絶対に越えられない障壁だったはずで、
実際に映画の中にも、それに関する会話が頻出する。


中途『ノッブス』の出自が明らかにされるシーンがあるが、
本来の場所に少しでも近づきたい願望と
その為に素の自分を殺して生きる姿は痛ましくもある。

なので、彼女が、あるべき姿に戻った時の態度は、
観ている方の胸が締め付けられそうになる。


評価は
評価は☆五点満点で☆☆☆★。

脚本の出来はさて置き、
本作は『グレン・クローズ』の為の一作。

メイクの妙味も加え、
男性に近い中性さをふんだんに醸し、素晴らしい演技。
「アカデミー」ノミネートも
むべなるかな。

教訓や風刺は別のハナシとして、
彼女の演技を純粋に楽しむことが吉。