RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

麦子さんと@TOHOシネマズ錦糸町 2013年12月30日(月)

当該館は初訪。
と、ゆ~か、【錦糸町】自体、今まで一度降りたことが
有ったかど~か。

それ程、縁遠い場所だが、
目当ての映画を上映している場所が
他に無いんだもんなぁ~。

とは言うものの、折角来たんだから
早めに着き、駅周辺も含め、たっぷりと見て廻る。

昔は、あまり柄の宜しくない場所の代名詞だったが、
どうしてどうして、駅周辺の表通りは
かなり小奇麗な街に変容している。


さて、標題作。
封切り二週目に突入。

席数の114の【SCREEN5】は七割方の入り。
客層はやや高齢に振れ、男女は満遍ない。


イメージ 1


三年前に父を亡くした
『憲男(松田龍平)』と『麦子(堀北真希』の兄妹だけが住むアパートに
十年以上前に二人を置いて出て行った母親『彩子(余貴美子)』が転がり込んで来る。

『麦子』には母の記憶すら殆ど無く、
人懐っこく寄って来る実母に、
どう対応していいのかすら判らない。

ぎこちなく接する内に、『彩子』は肝臓癌で
突然あっけなく亡くなってしまう。

荼毘にふした彼女の遺骨を先祖代々の墓に納めるため、
実母の故郷の駅に降り立つた『麦子』は、
そこで思いもよらなかった
若い頃の母の姿に邂逅する。


肉親や親しい人を亡くした経験のある人なら、
本作の主人公の様な思いをしたことが
大概はあるだろう。

「ああ、あの時、なんでこんなコト言ったんだろう」
「ああ、あの時、こうしておけば良かった」

相手が生きていればリカバリーのしようもあるが、
この世に居ないのだから、それは叶わない。
所謂、「親孝行、したい時に親は無し」。


ただ、苦い思いよりも、もう少し酸っぱい想いに寄っているのが
本編の特徴。

その為に、監督は母の田舎に行った『麦子』に直面させる
ある仕掛けを用意しており、これが頗る秀逸。

それがあるだけで、ストーリーがぐっと引き締まり、
更にはエピソードの厚みと深みが増している。


人々に接することで、
次第に『麦子』のココロがほぐれて行くシークエンスは
観ているものの気持ちをも解きほぐし、暖かくする。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

本年最後の一本に、
良いモノをみせて貰った。

一種、ファンタジーではあるものの、
気持ちがスッキリと洗われる心持ちがする。