RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

会田誠 天才でごめんなさい@森美術館 2012年12月30日(日)

本年の掉尾を飾るに相応しい展来会として選択したのが
こちら
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会田誠』展である。

一般の入場料は1,500円だが、
1月末まで有効の「東京シティビュー」入場券を
800円で購入。
これには美術館への入場がセットされ(展覧会開催中のみ)、
実はかなりオトク。
以外と盲点だった。
今まで知らずにいたのは、返す返すも残念だが、
人気物件については、これからは、この手だな。

事前に、この様な本も読み、
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【六本木ヒルズA/Dギャラリー】
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の展覧会で予習及びプライス等も確認し、
訪問に備える。


この日を選んだのは
故有っての事。

都内から人の居なくなる年末は
美術館とて例外ではない、
何処も概ね空いている。

ましてや、
年末年始の通し営業をしている会場は稀で、
そのことを知らない人が大半ではないか。


さて、当日は幸いにも、朝からの雨。
唯一、心配していた「シティビュー」から流れて来る客も、
これだけ景色の見え方が悪ければ
極小に抑えられるだろう。

エレベーターで52階に降り立ち、
エントランスに向かう。
予想通り、さほどの混み具合にはなっていない。
これなら余裕をもって見られそうだ。


一作品あたり、相応の時間を掛けて、
丁寧に観て行く。

先に挙げた様な人達は、こちらが
じっと立ち止まっていると
その後ろをすいすいと抜けて行って呉れるから、
識別しやすいと共に有り難い。

おおよそ八割方、その手の客ではないだろうか。


たっぷりの時間で一渡り拝見し、
さて、入り口に戻って最初から、と会場を逆行すると、
あれあれ、いつの間にか、かなりの人の入りになっている。

これじゃあ、ゆるりとした鑑賞は叶わんよなぁと、
後ろ髪を引かれながら会場を後にする。


展覧会自体は全部で五つのセクションで構成され、
夫々が、作家自身が発する、エロでグロでナンセンスで
批判性に満ちた表現が横溢し、
より理解を深める為に、本展ばかりは、
添えられているキャプションを
キチンと読みつつ鑑賞するのが、
この場の理に適っている。

アメリカン・アート〕〔ヴィトン〕〔火炎縁雑草図〕
と言ったところを観れば、権威に対する痛烈な言葉は、
それを称賛する自分達に向かっても
実は投げかけられていることが判る。

また今回は、
使われている素材すら作品の理解には大切で、
〔みにまる〕に至っては「血液」で文字が
しかもチープな「銀紙」の上に書かれている。


しかし、個人的に最も魅入ってしまったのは、
入り口に暗幕が掛けられた「18禁」のコーナーで、
此処は、面映そうに「間違って入っちゃった」みたいに
そそくさと出て行く若い女性達や、
食い入る様に見つめる、おたく然とした人達と、
そして、自分の様な類の人間に
大きく分けて三分されるのだが、
久々に観た〔巨大フジ隊員VS キングギドラ〕は
矢張り危ない危ない描写で、
おそらく、今後も揃うことがあるのだろうか
〔犬〕シリーズの5点
〔月〕〔雪〕〔花〕〔野分〕〔陰翳礼讃〕を一時に観れたことは、
この場に居られて良かったと、
それだけで感動する。


圧巻は大作のみが集められた「Section3」で
何れも美少女をモチーフにした、
制作途上の〔ジャンブル・オブ・100 フラワーズ〕
山水とスク水が奇妙に融合した〔滝の絵〕
ぬめっとしたエロチシズムが横溢する〔大山椒魚
一見しただけではそれと判らない〔電信柱、カラス、その他〕
そして細かい細かい細かい描写が冴える〔ジューサーミキサー〕
が、ぐるりの壁に懸架され、
ああ、もう、この空間から動きたくないと、
強く思ってしまう。


最後のコーナーの〔モニュメント・フォー・ナッシングII〕や
『TEAM マコプリ』による〔エスケープ〕は
複数回目の邂逅だが、観る度に、その様相を深化させて行く。

自分の少年時代の絵を再構築した作品を並べたセクションに
代表される様に、その激しすぎる変容が
この作家の本質なのかもしれない。