RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

プラド美術館所蔵 ゴヤ 光りと影@国立西洋美術館 2012年1月7日(土)

年末に前を通った時に、それ程の混雑は感じられなかったこと。
そのせいだろうか、ディスカウンターでの売価も下がり気味で、
一般1,500円に対して800円というプライスを見つけたこと。
その二つが無ければ、多分行かなかったであろう本展

イメージ 1


その場で観て、改めて不人気の原因が理解できた。
油絵の展示が少ないのだ。
公称123点中、二割にも満たないほど。
殆んどを占めているいるのは素描やエッチングの類。
しかも、貸し出し元の『プラド美術館』所有のものより、
元々『国立西洋美術館』が所蔵しているものが多いのではないか。
少々、難癖を付けたくもなろうと言うもの。

ましてやそれらは、当時の風俗や歴史背景を反映したり
寓意に満ちていたりで、理解するのには、相当の知識が必要。
なので館内は、さほどの入りとはなっておらず、
比較的余裕をもって鑑賞できる程度の混み具合。


さて、作品はと言うと、
「40年振り来日」なる惹句が付いた
〔着衣のマハ〕が目玉で、
当然その前には人だかり。
ただ、横長の作品なので
人の多さは鑑賞に不便をきたすほどではない。
蠱惑的な表情に挑発するような眼。
画面にグッと惹きつけられる。
大きな枕に垂れかかる上半身は、着衣や寝具のレースも含め
入念な描き込み。
一方、下半身は寝台を含めかなりあっさりと表現され、
それが為、肉感的な上半身に一層、視線が集中してしまう。
ハダカよりもエロいんじゃあないか。

小品ではあるが〔アルバ女公爵と”ラ・アベダ”〕は
別の意味で興味深い。
あの〔白衣のアルバ女公爵〕と同年に描かれ、
彼女の後姿が拝める。
純白のドレスに漆黒の髪の対比が鮮やかだ。

〔カルロス四世の家族〕の為の習作も
二点展示されている。
〔マリア・ホセファ内親王〕は猜疑と狷介の入り混じった表情は
本作のまんま。
スペイン王子フランシスコ・デ・パウラ・アオントニオの肖像〕は
より優しげだ。
そして習作ではないものの〔赤い礼服の国王カルロス4世〕に至っては、
家族と一緒の時でない方が、威厳を感じられる皮相さ。

「光」を代表する一点としては〔日傘〕だろう。
タペストリーの下絵か、
スペインの強烈な日差しの中で赤や青・黄色・緑の原色が
輝いている。


何だかんだ言っても、かなり楽しめてしまった。

加えて、此処の常設展は例によって素晴しい充実ぶりで、
そちらもたっぷりと眼福。
『ミレイ』『クールベ』『ハンマースホイ』『フジタ』
等など。
蓋し、至福の空間が成立している。


注)
当展は入り口が正面ではなく、建物の横手になる。
一瞬、戸惑ってしまった。