RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ブラック・スワン@109シネマズ川崎 2011年5月15日(日)

先に触れた様に
当館は「営業再開キャンペーン」を実施している。

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様々な制約はあるものの、千円で映画を観られる機会を
多く提供してくれるのは、有り難い限り。

今日は、早速、その恩恵にあずかり、
公開五日目の本作を鑑賞しに来た。

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席数246と、そこそこ広い【シアター1】は
満員の盛況。
主演女優の「アカデミー賞」が
効いているのだろうか。


バレリーナだった母親の期待を一身に背負い
純粋培養された『ニナ(ナタリー・ポートマン)』は
所属しているバレエ団の監督が新たに振付けた
白鳥の湖〕の主役に抜擢される。

しかし、
純粋な『オデット(白鳥)』と
邪悪な『オディール(黒鳥)』の演じ分けは、
前者こそ得意とするものの、
社会経験の少ない彼女にとって
後者の表現は至難であった。

ライバルの出現、
監督からの叱責も含め、
彼女は次第に追い詰められ、
最初は自傷が、遂には幻想までをも見る様になる。

そして、初演の舞台の幕が開く・・・・。


世評は「サイコスリラー」に分類しているが、
演出がそう見せているだけで、
心の弱さが露呈している人間には、
実際に、見え得る場合がある心象風景を、
ストレートに映像化しているだけでは?

現実と幻想の区分が付かなくなっていく描写は
確かに恐ろしいが、
鬼面人を驚かす風ではない。


二時間弱の本編を『ナタリー・ポートマン』は
ほぼ出ずっぱり。
激しいまでに痩せた、身体造りも含め、
彼女に「アカデミー」を取らせるために作られた
一編。


渾身の演技は、まさに鬼気迫るものがあり、
自信無さげな、おどおどした態度に始まり、
圧巻の「黒鳥」を踊るシーンでは、こちらまで
鳥肌がザワザワと立ってしまう。


〔赤い靴〕で表現されたように、
一旦、トゥシューズ履いたモノは、
倒れるまで踊り続けるのが運命なら、
本作の主人公はそれを(落下も含めて)体現し、
至福の瞬間を得たのかもしれない。