RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

蜩ノ記@109シネマズ川崎 2014年10月19日(日)

封切り三週目。

席数89の【シアター8】の入りは六割程度。
熟年の夫婦連れが、圧倒的に多し。

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羽根藩で祐筆を務める『檀野庄三郎(岡田准一)』は城内で刃傷沙汰を起こし、
本来であれば喧嘩両成敗、即刻切腹となるところを
あることを条件に罪一等を減じられる。

その条件とは、七年前に主君の側室と密通し、
しかし家譜の編纂を単独で受け持っていたため、
その完成までは切腹をお預けとなっている『戸田秋谷(役所広司)』の監視、及び
藩にとって不都合な事実が記載されないかの確認。

が、『秋谷』やその家族と過ごし、
その人となりに触れるに連れ、
世に言われている事件がまことのことなのかすら
確信が持てなくなる。

期限の十年は、刻々と迫って来ていた。


この類の時代劇にありがちな
美しい日本の四季や土地に根付いた風習を背景に、
物語は淡々と描写される。

次第に『秋谷』に心酔していく『庄三郎』の態度は自然であるし、
事件から十年後の切腹という意外さに満ちた仕掛けや、
幾つか張られた伏線とその謎解きも、
観終われば、すとんと腑に落ちる仕立てになっている。


不義密通はホントに有ったのか、との最大の謎を縦糸に
農民と郡代との争いや、藩内の諍い、そして
『庄三郎』と『戸田』家の人々の関係を横糸に、
二時間強の尺を使い、細やかに
そして静かに織り上げられていく一反の布地のようだ。

登場人物達の所作も美しいし。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


とは言うものの、これはあくまでも封建制度
基準にしたオハナシだててあり、
現在の我々の目から見れば相当に理解不能

理不尽に耐え忍び
お家のために忍従する姿に対しては、
どうにも違和感が消えない。

滅私が美徳であり、
修身がベストであるような言説には、
正直鼻白んでしまい美しさは感じないのだが・・・・。