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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

「特別展 幕末・明治の超絶技巧 世界を驚嘆させた金属工芸―清水三年坂美術館コレクションを中心に」@泉屋博古館分館 2010年11月2日(火)

閉館間際の美術館は比較的空いていて、
落ち着いて鑑賞できることもあり、
割と好きな時間。

訪問時間は15:30。
~16:30の開館なので、多少追い立てられる感はあるが、
都合により、まま、善しとするさ。


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一般の入場料は800円だが、「ぐるっとパス」を利用。

タイトルにある通り、『清水三年坂美術館』からの貸与品が頗る多い。
同館は【京都】に在る、幕末~明治期の、
主に工芸品を展示する美術館のようで、
中々訪問できない身には、こういった企画は、まずもって有り難い。

約170の展示は、ほぼ金属工芸
しかし、まあ、「超絶技巧」との惹句は誇張でもなんでもなく、
その真に迫った描写と、熟練の技には、兎に角、驚かされることばかり。


『大島如雲』の〔鯉波置物〕。
波間を泳ぐ三匹の鯉。その肢体の躍動感。
加えて水の流れは、欄間の透かし彫りの様に、
薄い帯で表現されている。
その流麗さと質感。
木でできているんですか?これわぁ。
と、思わず驚嘆。

『正阿弥勝義』の〔蟷螂置物〕。
振り上げられた蟷螂の鎌は、獲物目掛けて
今にも振り下ろされそうな力強さに満ちている。

市井の無銘の職人による作品も多く展示されているのだが、
その技量、手抜きを排除した造形には、圧倒される。

小さい細工にはルーペも設置され、
拡大して見ることができる。
大きくなったことで、その質感がより強く感じ取れるなんて、
もともとの仕事は、どれ程繊細だったんだろう。


入館して、先ず我々を出迎えるのは、
『鈴木長吉』の〔十二の鷹〕。
片足を羽毛の中に引っ込める、その描写と量感こそが、
実は本展の白眉であり、中核を成すものだろう。