RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

不滅のシンボル 鳳凰と獅子@サントリー美術館 2011年7月9日(土)

新聞に添付されていた200円割引券を使い、
1,100円で入場、且つ後の企画展に入場可能な招待券の入手
を、目論んでいたのだが、
ふらりと入ったディスカウントチケットで、
400円で売られているのを目にすれば、
これはもう、買うしかないでしょう。
ま、会期末も近いことだしな。

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当日は、さほどの混雑にはなっておらず、
かなり余裕をもって鑑賞できる程度の入り。
どの展覧会も、これ位だと助かるんだけど・・・・。


で、見物はと言うと、
先ずは


若冲』の〔花鳥図押絵貼屏風〕。
六曲一双のうち右隻だけの展示。
墨で描かれた様々な肢体の鳥達は、
当然のことながら、その在り様が個性的。

特に坂を駆け下りる鳳凰の力強い
腿肉の蹴り出し具合や鋭い目つき、
鶴のまぁるくなった身体のふくらみ。

そして筋目描きに代表される
羽根の質感表現のリアルさは、
他の追随を許さない。


次いで、
〔唐獅子図屏風〕。
右双が『狩野永徳』、左双が『狩野常信』。
歴史の教科書にも載っている、この逸品は
宮内庁」の所蔵なので、【三の丸尚蔵館】のHPをマメにCHKしていれば
お目に掛かる機会もあるのだが、中々ねぇ。
で、今回が初対面。

『永徳』が描く獅子は、胸の筋肉を始め、四肢のそれも勿論、
ぐいぐいと盛り上がり逞しい。
辺りを睥睨する鋭い視線共々、
これを前に座る権力者の威光を、
一層際立たせたことだろう。

一方、江戸期に描かれた『常信』のそれは、
もこもこと丸く毛むくじゃら。
今にも画面から飛び出しそうな、
やんちゃな趣き。

時代の変遷が、同じ画題、同じ流派でも、
此処まで表現を変えてしまうことの好例。


それ以外にも、
平櫛田中』の〔鏡獅子〕一躯は、絢爛な服飾を含め
流れる様な髪の表現が素晴しい。

〔解体新書〕の挿絵を描いた、『小田野直武』の蘭画風作品
〔獅子図〕もある。


会期中に展示替えもあるし、工芸品も多いので、
数はさほどでもない。
でも、国宝や重文のオンパレードは
有り難い限り。

が、一点だけ不満がある。
屏風類の展示場所が良くない。
工芸品を展示するガラスケースが通路の中央に置かれているため、
それを観る人とぶつかってしまうのだ。

思うに経年で「章」を設定して、
それに見合う作品を並べたことによる弊害かと。
何とか、工夫して欲しいものだ。