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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

金のゆりかご:北川歩実~読了

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帯には「13万部突破!!」と大書してある。
初版は2001年の11月。
この版は2009年の7月で、第5刷。
10月に見たときには「15万部突破!!」に書き換えられていた。

此処に来て、急激な売れ方だ。
最近流行りの”本屋さんのPOPから火が点いた”
って類だな。

「金のゆりかご」は天才を作り出すために設えた
特殊な保育器。
よくある英才教育ではなく、脳の構造そのものを組み替えることで、
天才を生み出そうという装置。

しかし、こういったことに疑惑は付き物。
「金のゆりかご」に入れられた子供の何人かは
精神に異常をきたしてしまったという噂も流布し、
真相を突き止めようとするマスコミも一方では存在する。

本書の狂言回し、『野上雄貴』は「金のゆりかご」創生者の
近松吾郎』の息子で、かつて英才教育を受けた過去もあるが
今は平凡な生活をおくっている。

そんな彼の周囲で「金のゆりかご」の秘密が原因と思われる
不可解な出来事や失踪・殺人が立て続けに起きる。
背後には何が潜んでいるのか?


でね、よくあるどんでん返しものなワケさ。
それもね、新しいカードが次々と切られて、
その度に過去は否定され、事件は全く違った側面を見せるわけ。

タダね、そのカードの切り方が何と無くアンフェア。
ヒントは予め全て提示され、
その解釈の仕方によって新しい側面が見えてくるのならエレガント。
でも、今までどこにも無かった新しい山から、
全く有り得ないカードが提示されるんだよね。
これだったら、どんな展開も可能でしょ?

正直言って、かなりガッカリな一冊。

そう。最後に一つだけ聞いておきたい。
「それじゃあ、彼の胸には、傷痕が有ったの?」