RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

エヴァの告白@TOHOシネマズシャンテ 2014年3月1日(土)

封切り三週目。
席数190の【CHANTER-3】は満員の盛況。


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1921年。エリス島の入国管理局に
移民船に乗りポーランドから
エヴァマリオン・コティヤール)』と『マグダ』の姉妹が降り立つ。

しかし、妹は、肺病を理由に隔離され、
一方の姉も、船上での素行や、身請け先住所の不備を理由に
送還されそうになる。

興行師を名乗る『ブルーノ・ワイス(ホアキン・フェニックス)』に救われ
入国することができた『エヴァ』だが、彼の裏の顔は売春の斡旋師。

彼女は、お決まりの様に、苦界に身を沈める坂道を
転げ落ちて行く。


わらしべ長者」が、本人が意識することなく
幸を成し遂げて行くのだとしたら、
本作の主人公は、ただ生きる為、妹を救い出し一緒に暮らす為だけに
奮闘しているのに、本人はおろか、
周囲の人間にまで不幸を伝染させてしまう。

当時の意識としては、それこそが「原罪」であり、
あくまでも当人の責によるものとの理解だろうが、
現代の眼からすれば、
昔から腐敗していたNY市警
きちきちに固まったキリスト教的倫理観
先に移住したものの既得権の保守
等の要素に絡め捕られ、翻弄させられる姿にしか見えない。

要は彼女は何も悪いコトはしてないのに、
周囲の悪が染め変えて行く、の構図。


脚本はその流れを、観客が疑義を挟み込めないほど
きちっと積み上げて行く。

なので、ハナシの流れは至ってスムース。
我々は周りの仕打ちに義憤に駆られ、
彼女の健気さに涙を振り絞ることになる。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

ありきたりの設定ではあるものの、
映画としては頗る良く出来ている。

二時間の尺は、
ほぼ暗く、ずっしりと思いエピソードの連続で
やや不幸の重畳がきついものの
仄かに見える光明(それとて実際は次の不幸への序章かもしれないのだが)は、
観る者の側の救済をも感じさせる。