RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

TWS-Emerging 141/142/143@@トーキョーワンダーサイト本郷 2010年8月22日(日)

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今回の「Emerging」は、3展とも「かぶりもの」。

141「幼稚な子供たち」:近あづき
142「レポート フロム タワーツアーズ」:堀口泰代
143「飛び立ち距離」:大石麻央


『近あづき』の作品はニットのベビー用品を
全裸の女性が、身に纏っているのだが、
件の女性は顔が見えず、匿名性を帯びている。

写真は、ほの暗い中から、ぼうっと褐色の女性の肌が浮き出して
幻想的な雰囲気。

展示されているベビー用品の実物は、とんでも無い大きさ。
ケープ等は優に大人の背丈ほどもある。
一方でパステルカラーで編まれた三点は、
何れも可愛い雰囲気を醸し出し、激しいギャップ。

で、これらが一旦、写真の中に取り込まれると、
ベビー用品の大きさを正とするなら、
それを纏っているのは、成熟したカラダながら、
至極小さい女性というパラドクス。


『大石麻央』の作品は半人半獣のマネキンが
更にケモノのマスクを被っている。
それらは性別や年齢さえも意図的に消去されている。

マネキン自体は軟らかい素材で作られているため、
恐怖感よりも暖かさが先に立つ。
思わず触れたくなるほど。

そのマネキンの横には、もう一つの(同じような種族の)
マスクだけがぽつねんと置かれている。

本人の解説によると、本来的にはペアで一つの作品なのだが、
片方はマスクのみを持ってきた由。

ここに在るのは、
本来のモチーフからは乖離しているかもしれないが、
そこはかとない喪失感。
どのような関係性にあるにしろ、
取り戻せない悲しみが虚ろな目のマスクから漂って来る。