今回の「Emerging」は、3展とも「かぶりもの」。
141「幼稚な子供たち」:近あづき
142「レポート フロム タワーツアーズ」:堀口泰代
143「飛び立ち距離」:大石麻央
142「レポート フロム タワーツアーズ」:堀口泰代
143「飛び立ち距離」:大石麻央
『近あづき』の作品はニットのベビー用品を
全裸の女性が、身に纏っているのだが、
件の女性は顔が見えず、匿名性を帯びている。
全裸の女性が、身に纏っているのだが、
件の女性は顔が見えず、匿名性を帯びている。
写真は、ほの暗い中から、ぼうっと褐色の女性の肌が浮き出して
幻想的な雰囲気。
幻想的な雰囲気。
で、これらが一旦、写真の中に取り込まれると、
ベビー用品の大きさを正とするなら、
それを纏っているのは、成熟したカラダながら、
至極小さい女性というパラドクス。
ベビー用品の大きさを正とするなら、
それを纏っているのは、成熟したカラダながら、
至極小さい女性というパラドクス。
『大石麻央』の作品は半人半獣のマネキンが
更にケモノのマスクを被っている。
それらは性別や年齢さえも意図的に消去されている。
更にケモノのマスクを被っている。
それらは性別や年齢さえも意図的に消去されている。
マネキン自体は軟らかい素材で作られているため、
恐怖感よりも暖かさが先に立つ。
思わず触れたくなるほど。
恐怖感よりも暖かさが先に立つ。
思わず触れたくなるほど。
そのマネキンの横には、もう一つの(同じような種族の)
マスクだけがぽつねんと置かれている。
マスクだけがぽつねんと置かれている。
本人の解説によると、本来的にはペアで一つの作品なのだが、
片方はマスクのみを持ってきた由。
片方はマスクのみを持ってきた由。
ここに在るのは、
本来のモチーフからは乖離しているかもしれないが、
そこはかとない喪失感。
どのような関係性にあるにしろ、
取り戻せない悲しみが虚ろな目のマスクから漂って来る。
本来のモチーフからは乖離しているかもしれないが、
そこはかとない喪失感。
どのような関係性にあるにしろ、
取り戻せない悲しみが虚ろな目のマスクから漂って来る。