RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

舞妓はレディ@チネチッタ川崎 2014年9月23日(火)

封切り二週目。
席数129の【CINE 2】の入りは
八割程度。

安心して見せられる、ということだろか、
幼児を連れて来場している母親もおり、
ただやはり退屈だよねぇ、おしゃべりが止まらない。

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告知が開始された時点の予告編では
ピンとこなかったんだが、
封切り直前のものを観て、ミュジーカルシーンが盛り込まれていることを知り、
ああ本作は〔マイ・フェア・レディ〕のもじりなのだと合点が行く。

そう思ってみれば
主演の『上白石萌音』は『イライザ』で、
大学教授の役の『長谷川博己』は『ヒギンズ教授』、
呉服屋店主の『岸部一徳』は『ピッカリング大佐』ねと
人間関係もすとんと腑に落ちる。

更には、
「京都の雨は主に盆地に降る」とも歌い、
配役だけではない、本歌取りもてんこ盛りだ。


しかし感心したのは、オープニングタイトルが出るまでの
一連のシークエンス。

先ずは、花柳界独特の風習を利用し、
監督の妻であり芸子役の『草刈民代』に〔緋牡丹博徒〕を演じさせる
サービスぶり。

次いで、舞妓を目指し、置屋に入ろうとする『春子』が
方言丸出しで唄うシーン。

マイ・フェア・レディ〕では『ヘプバーン』がコックニー訛りで唄い、
我々はそれを字幕で見、語尾が変な言い回しになっていることに笑った訳だが、
でも現地の人にしてみれば
こんな風に実際は聞こえていたんだろうと。
それを判り易く翻訳してくれたのだな。
やはりこれも『周防正行』なりのサービス精神の現われだろう。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


それにしても、笑わせて、泣かせて、心がじんわりとして、
最後は幸せな気分になる、良く出来た映画だ。

それには置屋の女将を演じた『富司純子』の存在が大きい。

自身の半生をモノローグするシーン(実際は相手がいるのだが、
この時、当人は反応できない状態、でしょ)なんか、
うるっと来ちゃったもの。


勿論、諸手を挙げての、舞妓礼賛ではなく、
必ずしも女性としての幸せを全うできない可能性が強い
職種だと言うコトも、ちゃあんと匂わせて、
それでも最後は、そういったしがらみを全て切り離し
少女の成長譚に纏め上げている。