RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

奇跡@チネチッタ川崎 2011年6月19日(日)

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席数191の【CINE10】は、
最前列を除き満員の盛況。
客層は老若男女、幅広い。
家族連れ、カップル、一人だけと、
形態も様々だ。


父母が離婚したために、
住み慣れた大阪から鹿児島に転校して来た『航一』は、
母とその祖父母と一緒に暮らす。
小学校で友人はできたものの、
桜島からの火山灰が、彼を苛立たせる。

一方、弟の『龍之介』は父と一緒に福岡で暮らす。
奔放に生活する親をサポートする様に、
しっかりモノとして描かれる。

二人は、共通の習い事である水泳を仲立ちに、
強い糸で繋がっている。
携帯で近況を報告しあうことも、
それに一役買っている。

『航一』が理科の授業中に、ある噂を聞いたことから
物語は動き出す。
それは、
2011年の3月に全線開業する「九州新幹線」の
福岡からの「さくら」と
鹿児島発の「つばめ」の、夫々一番列車が
最初に擦れ違う瞬間に、願い事を言えば、
それが叶うというものだった。

彼は、家族の再生に懸け、周囲を捲き込んで動き出す。


オープニングで『J企』がクレジットされていることから判るように、
これは九州新幹線の開業を記念した「企画映画」の位置づけ、だろう。

ある意味、あざとい印象を受けてしまう。

しかし、それを打ち消しているのが、
本編の主役である子供達。
物語の設定通りの年齢の子役を配し、
時としてドキュメンタリー風に、
素で撮った映像を挟み込む。

それが、妙なリアリティを与え、
タイトルにある奇跡、
・擦れ違う新幹線を見ることができるのか
・(見れたとして)願いは叶うのか
の二重性が、本当に成就するのかを
見届けたい心境になる。

我々は、第三者の視点で、
ハラハラしながら、
(行程としてはありがちだが)彼等の冒険譚に付き合うことを
余儀なくされ、
自然に心情に寄り添ってしまう。

ここいら辺の演出は『是枝』監督の面目躍如の感アリ。

何れにしろ、この仕掛けの反応で、この映画の評価は
分かれてしまうだろう。
自分として、かなり好意的に捉えたが。