RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ゴールデンスランバー@TOHOシネマズ川崎 2010年2月14日(日)

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キャパ147席の【SCREEN2】は、ほぼ満席。
こちらも、中々の人気で至極結構なこと。


しかし(有料放送も含めて)何本目の『伊坂幸太郎』原作の映画化作品
鑑賞なのだろう。
仙台という共通の舞台、そして共通の役者さん達。
なんか、「黒澤映画」を観ている気分だな。


宅配ドライバーの『青柳(堺雅人)』はアイドルタレントを暴漢から救った事から
地元ではちょっとした有名人。
それ以外はごく平凡な生活を送る、独身の30代。

かつての大学のサークル仲間『森田(吉岡秀隆)』から久々に呼び出され、
車の中で話すうち、直ぐ近くで爆発音が起こる。
地元出身の金田首相が、凱旋パレードの途上で爆殺されたのだ。

警邏中の警官は規定路線のように『青柳』向けて銃を構える。
何か巨大な力が背景に有り、全てが『青柳』を犯人と指し示すように
お膳立てられている。

暗殺犯に仕立てられた『青柳』は、仙台市内に張り巡らされた非常線を掻い潜り、
逃走を始める。
彼が過去に関わって来た人達との信頼だけをあてにして。


『BEATLES』の〔Golden Slumbers〕の、曲自体ではなく、
その製作過程が狂言廻しとして綴られる。

かって『青柳』が関わった人達とのエピソードがカットバックで挟み込まれ、
それに関連した手法で、彼が次々と救われる秀逸なストーリーテリング
大学時代の甘い思い出が随所に顔を出し、上手く伏線となるよう展開されていく。

プロローグとエピローグで綺麗に円環が完成するお約束の表現も
相変わらず見事。

大人向けの「お話」ではあるのだが、多少のご都合主義は吹き飛ばす程の
疾走間に満ちている。

最初から最後まで(特に最後の逃走のための仕掛けは多少強引であはあるのだが)、
兎に角、逃げ続ける『堺雅人』の大変さを思うにつれ、
ココロが切なくなる秀作である。