RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

砂漠でサーモン・フィッシング@品川プリンスシネマ 2012年12月16日(日)

席数96の【シネマ4(プレミアム)】は三割程度の入りと
封切り二週目にしては少々寂しい。

館内は、若干高齢に振れたカップルが多目だが、
まさにターゲットはその通り。
じんわりと胸に染み入るラブストーリーだ。

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首相広報官の『パトリシア・マクスウェル(クリスティン・スコット・トーマス)』は
中東に於ける英国に対する好感度を向上させるためのネタを探している。
そんな折、イエメンの砂漠に鮭を泳がせるプロジェクトが進行しているとの情報を入手する。

コンサルタントの『ハリエット・チェトウォド=タルボット(エミリー・ブラント)』は
アラブの富豪から当該プロジェクトの推進を依頼されている。
彼女の出来立ての恋人『ロバート・マイヤーズ』は軍人で、アフガニスタンに派兵されている。

水産学者の『アルフレッド・ジョーンズ(ユアン・マクレガー)』は
若くして結婚した投資会社に勤める妻とは、所謂、倦怠期にある。
そんな彼の元に、当該プロジェクトが、上司から
半ば強引に持ち込まれ、
『ハリエット』と共に、任に当たることになる。

最初は荒唐無稽と歯牙にも掛けなかった『アルフレッド』。
が、熱心に、プロジェクトに向き合う『ハリエット』に触発され、
次第に自分も本腰を入れて取り組む様になる。

果たして、「砂漠での鮭釣り」と言う途方もない夢は、
実現するのだろうか・・・・。


英国の小説が原作と言うことで、
会話がユーモアとウイットに富んでいる。

また、それを支えて、カメラワークやカット割りも
相当に洗練されている。

その両面で、観客は何度もニヤリとさせられる。


一方、物語の展開自体は、かなりありきたり。
ただ、砂漠で、鮭のフライフィッシングをするために
大枚を投じてしまう、そのアィディアは頗る秀逸。

一見、有り得ないハナシなのに、
次第に現実味を帯びて来てしまう不思議。

また、英国とイエメンの両国で同時的に発生する障害は、
方やどうでもいいような些細な内容に拘る英国人気質らしいそれに対し、
方や偏狭な思想そのものが足を引っ張るという
洋の東西をデフォルメ/カリカチュアライズした描写も面白い。


最初はプロジェクトの実行が主眼であった筈なのに、
やがて二人の恋物語に変容して行く、その過程の
不自然さを感じさせない、
語り口が大層見事だ。