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ファインバーグ・コレクション展@江戸東京博物館 2013年6月30日(日)

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一般の入場料は1,300円(特別展専用券)だが、
事前に招待券を780円で購入済み。

ディスカウンターサイドの判断は、
さほどの人気物件ではない、との見立てだが、
甘かった。

訪問当日の会場内は
~7月15日(月)の会期が終わりに近づいて来た為か、
相当の混雑。
かなり上手に立ち回らないと時間ばかりが無駄に経過して行く。

それでも、
「江戸絵画の軌跡」の副題からも判るように、
場内は{琳派}{文人画}{円山四条派}{奇想派}{浮世絵}と
セクションが設定されているので、
目当ての作品を探し易い構成になっているのは有り難い。

しかも並んでいる作家達も、
多くは一度は耳にしたことがある大名跡
ある意味、判り易い展覧会、と言える。


入り口付近では『宗達』の〔虎図〕がお出迎え。
その愛嬌のある仕草は、どう見ても「猫」のそれなんだけど、
今にもふうわりと動き出しそうな毛並の描写は
やはり非凡、素晴らしい。

次いでは『抱一』の〔十二ヶ月花鳥図〕。
一年分、十二幅を一時に拝める機会はそうは無い。
なので、これはかなり至福な瞬間。
特に冬、盛り上がる胡粉
ぽったりとした厚みを帯びての雪の描写は、
若冲』を彷彿とさせる。

『狙仙』の〔滝に松樹遊猿図〕。
擬人化された猿達の素行は、
しかし、細密な毛の描写が根底にあってこその付加価値だろう。

若冲』は四幅で何れも墨絵。
内、三幅は菊を題材にしている。
しかし観るべきは〔松図〕。
この荒々しさは、とても八十を超えた老人が描いたとは思えない。
今だ気力が充実している。

そして『北斎』の肉筆画〔源頼政の鵺退治図〕。
今にも矢をひょうと放つ瞬間の
盛り上がる筋肉の表現は力強い。
これも九十近い歳の作品だなんて
とても想像がつかない。


主要な作品を並べただけでも、
蒐集した夫妻の、趣味の良さが判ろうと言うもの。

しかし、こういったコレクションに
本家本元の日本人の名前が冠されていないのが
返す返すも残念だが・・・・。