RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

図書館戦争@109シネマズ川崎 2013年4月28日(日)

公開二日目。

席数175の【シアター4】は満席SOLDOUT。
客層は女子が多く、しかも年代は幅広い。
小学生のグループから初老のおばさん達まで。
凄い人気だな『岡田准一』(あ、違うか『有川 浩』か)。

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舞台は国家による検閲が合法化された
日本によく似た架空の国。
メディアへの規制は、時に武力を伴い
特に書籍については、その姿勢がより強硬なものに。

そんな中で、これに反対する「図書隊」に入隊した
『笠原郁(榮倉奈々)』の隊士としての成長が描かれる。


本編で最も好感が持てるのは、
最近の映画、特に原作モノにありがちな、
不自然な世界観が背景の説明も無しにぽ~んと提示される、
その不整合さが排除されている点で、
「図書隊」設立の背景から『笠原郁』入隊の動機までが、
冒頭の時間を使って要領良く描写され、
非常にテンポのある判り易い導入部となっている。

一方、「図書隊」の資金源とか、
合法的に火器を使用できる背景とかの解説は一切なく
(どうやら、原作にも無いらしい)、
細かいコトに最近コダワリガチなおぢさんは、
最初モノガタリ世界に没頭することができなかった。


また、中途の戦闘シーンも冗漫で
(撮影協力の自衛隊への配慮か)、
これを省略し主人公と班長の『堂上(岡田准一)』とのエピソードを
盛り込めば、もっとオハナシに厚みも出ただろうにと、
かなり残念な脚本。

専守防衛の建前のもと、「図書隊」は「良化隊」に対して
威嚇攻撃しかできないとの意図的なハンデを設定することで
やきもきさせる度合いを高揚させるのは、さすがの原作者の手腕だし、
図書館の中だけでしか火器を使用できない足枷を逆手に取った、
逆転の発想も面白いだけに、
余計にその感が強い。


本来であれば『オーウェル』描くところの〔1984年〕なみに
悲惨な世界なはずなのに、本作中の生活者達は、
現代とさほど違わない暮らしを送っている。

じゃあ、我々は、言論の統制に対して、
それ程敏感なとかと聞かれれば、
首を傾げざるを得ず、
そこいら辺は作者なりのアイロニーなのかもしれない。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

とは言っても、
全体的な流れは、頗る良く出来ているのだ。