RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ザ・タウン@109シネマズ川崎 2011年2月10日(木)

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席数89の【シアター8】の入りは五割程度。
「109シネマズの日」とは言え、平日の早い時間であれば
こんなものか。

客は、中高年の男性が多い。
やはりクライムものを好む層かな。


【ボストン】の【チャールズタウン】は
全米一銀行強盗・現金輸送車襲撃の発生率が高い地域で、
それを生業としているプロ集団が多く住むところである事が、
まず周知される。

そして、実際の銀行強盗のシーン。
それは定型作業をこなす様に、実にスムース。
一つ一つの行動に、キチンと意味があることも提示され、
ほんの数分で業務は終了。
強盗団は大枚を奪い逃げ去って行く。

短いカットを積み重ねた切れの良い描写は
渦巻きの中に投げ込まれた様なドキドキする感覚。
放り出された時は、爽快感さえ覚える。


しかし、今回の「業務」は常とは異なり、
逃走の際に女性の人質をとったことから流れが微妙に狂っていく。
チームの頭脳的存在『ダグ(ベン・アフレック)』が
彼女に惚れてしまったから。

片方で、『ダグ』の恋の行方を見せながら、
もう一方で強盗の「仕事」が積み重ねられて行く様子が、
淡々と描かれる。

その中で、この四人は、
ハイテク担当/車担当/銃・暴力担当、と
バランスのとれた集団であることも示され、
語り口にも抜かりが無い。

犯罪と犯罪の合間のシークエンスは
人間ドラマが中心となるので、
必然的にアップが多くなるのだが、
位置関係を上手く切り替え、
陳腐にならぬよう撮っている。

そうこうしているうちに、
冒頭で描写された銀行強盗を捜査する「FBI」の手が
彼らに迫って来る。
新たな襲撃計画を練る『ダグ』達との
攻防が始まる。


人質を好きになってしまうなんて
かなりお間抜けなハナシだが、
エピソードを丁寧に積み重ねることで
不自然さはあまり感じられない。

また、(タイトルにある通り)実は彼らの多くが
その「街」の呪縛に捕えられており、
そこに身を委ねる者、抜け出そうとするものの対比も巧妙。

単純なアイディアを、相当な手腕で練りこんだ、
犯罪アクション映画に見せかけた良作である。

監督・脚本の『ベン・アフレック』が主演もこなし、
原作の〔強盗こそ、われらが宿命〕に相当入れ込んでいることが判る。
演技も中々のものだし。