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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

シェル美術賞展2014@国立新美術館 2014年12月20日(土)

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一般の入場料は400円だが、周辺美術館で入手した招待券で、
無料で入場。
この時期、まめに各所を回っていれば、結構簡単に手に入るので、
有り難い有り難い。

会期は~12月23日(火・祝)で開催期間は二週間と短いから
時期を見計らってはいたんだが、場内はさほどの混雑にはなっておらず、
ストレスが溜らない鑑賞環境。

グランプリは『野原健司』の〔いつも〕と決まっているが
何時ものこととて自分の嗜好はちと違っているわけで・・・・。


受賞作品の中では『大谷郁代』の〔ラビリンス〕が良い感じ。
昨今の細密画にも近いが、
静物画の中に不用意に人物が紛れ込んでしまった様な
そんな不自然さが、微妙な空気を醸している。


それ以外では、
『奥村彰一』の〔おねえ山水/五色鳥の逃避〕が馬鹿馬鹿しくも素晴しい。
淡いながらも彩色のされた山水画は、中央にイマドキの御姐さんがデンと配置され、
本来であれば画の中心に在るべき山水や老師は
隅っこの方に追いやられている。

かなり崩した形式だけど、こういった異なる次元の取り合わせが
巧く行くと効果を発揮するから。


あと
駅前のロータリーを競馬場に見立てた『小山久美子』の〔パドック〕や
単調な曲線の反復がしかし、不安さも醸す『福室みずほ』の〔遠雷〕、
波間にぷかんと浮かぶ人をシンプルな線の組み合わせで構成した
『遠藤美香』の〔浮き島〕などが、目を楽しませてくれた。


そして「アーティスト セレクション」の中では
『森洋史』の作品群に留めをさすだろう。

聖書に題材を摂りながら、登場人物は皆アニメ顔。
妙にリアルな動物が描き込まれ、
日本古来の、または西洋独特の文様もあしらわれ、
過去の名作からの意匠そのものやモチーフの引用、
背景にカタストロフの描写と
兎に角観ていて飽きない。

以前とはかなりテーマが変ってしまったけど、
これはこれで新たな表現の地平が開けたと
素直に喜ばしい。