RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ジャッキー・コーガン@TOHOシネマズ六本木ヒルズ 2013年5月5日(日)

本来なら食指が動かない一作だが、
新聞等の批評が好意的だったので、
ま、ポイント利用ならと
足を運んだ次第。

ところが、席数の148の【SCREEN3】は
九割方の入りと、結構な混雑。

客層は高齢の男性独りだけ、および
カップルが多い。

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ジャッキー・コーガンブラッド・ピット)』は
アメリカの地方都市に住む殺し屋。

かなりの偏屈モノで、彼一流の(殺しの)哲学を持っている。
仕事の際には相手に憐れみを請われたくないので、
それとは知られない内に殺る。
本人の弁に依れば「優しく殺す」。

なので本作の現代は〔Killing Them Softly〕。
ロバータ・フラック』の
あの名曲を彷彿とさせる。


或る日『コーガン』が依頼されたのは、
地域の顔役が集う賭場を襲撃した犯人の始末。

なので、本作は100分近い尺を使いながら、
描かれる死体の数は過少。

また、それをこなす過程の理屈も牽強付会
加えてターゲットはハナから判っている。
主役の『ブラッド・ピット』を
カッコ良く見せる為に腐心しており、
それ以外のディテールは相当端折られている。

そう、本作は本人が制作者にクレジットされている様に、
自分をクールに魅せる為に撮られた一作。

最初から最後まで、一部の隙も無く立ち回り、
あくまでもスタイリッシュな姿勢は崩れない。

ファンにとってはたまならいだろうが、
そうでない多くの観客にとっては
かなり醒めてしまう。


都度挿入される〔It's only a paper moon〕等の楽曲は
その場の情景を良く代弁しており、取り合わせは絶妙だけど、
全体を通して見れば出来の悪い{アメリカン・ニューシネマ}の装い。


評価は☆五点満点で☆☆☆。

エンドクレジットが流れ終り、
場内の灯りが点いた時に、
残っている観客は二割にも満たなかった。

常であれば考えられない状況だが、
これが客層の実際を映していると見るのは
穿ち過ぎか。