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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

クラリネット症候群:乾くるみ~読了

取敢えず、4冊読んでみた。
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イニシエーション・ラブ〕~〔リピート〕~〔Jの神話〕~
クラリネット症候群〕の順で。


イニシエーション・ラブ
書評を見て買ったのだが、帯のキャッチでは表現が生ぬるいと感じる驚き。
(多少ネタバレになるけど、色んなところで既出だから良いだろう)最終頁に入った頃から
違和感を感じ、読み終わると頭は混乱。「え?」って感じ。
すぐ、ぱらぱらとめくり直し、完璧に理解出来るまで5分はかかった。
他愛無い恋愛小説が、瞬時にミステリー(という表現がいいのかどうか・・・・)に豹変する
仕掛けが素晴しい。こんなの今まで無かった。絶賛。


〔リピート〕
で、同じ作者だし、これも帯の惹句に魅かれて読んだわけだが、「は?」。
これが”もっと驚ける”んですか。それは如何なものでしょうか。
解説にも引き合いに出されている、
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〔リプレイ〕by『ケン・グリムウッド』の方が遥かに素晴しい。
強制的に人生を”リプレイ”させられてしまう懊悩が、痛いくらいに感じられる。

ちなみに、毛色は違うけど、タイムトラベルものでは、
〔ふりだしに戻る〕by『フィニイ』がお勧め。
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これね。


〔Jの神話〕
”驚愕のデビュー作”だそうだが、あんまりな落ちと、女探偵(もう片方の主人公)の
一貫性の無さに驚愕した。驚愕の方向性が違うし。


で、〔クラリネット症候群〕
これは〔マリオネット症候群〕との二本立て。〔マリオネット・・・・〕はよくある話だが、
クラリネット・・・・〕は面白い。
タイトルからはよく知られている童謡、〔クラリネットをこわしちゃった〕を連想するし、
まさにそれに関連して話が進む。ストーリーも二転三転、思いもかけない事実も提示される。
表紙は〔イニシエーション・・・・〕に似ている。が、あれほどの傑作ではない。
でも、お金を出す価値はあるかな。

あと、本文中に出てくる〔ニ銭銅貨〕はこれで読める。
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しかし、ここでの明智さんは、後年〔少年探偵団〕シリーズに出てくるのと本当に同一?
というくらいに人物が違う。


おっと、『乾くるみ』だった。
四作全てでトーンが違うのは評価できるかと。作風のバリエーションが多い、とでも言うのか。
でも、女性の造形は類型的。残りの二作を読むかどうかは、悩むところだな。