RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

レオナール・フジタ展@上野の森美術館 2008年12月30日(火)

今年最後の美術展はこちら。


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場所は【上野の森美術館
ここに来るのは初めて。

“藤田展”と言えば、確か二年ほど前、竹橋の【東京国立近代美術館】で開催された時に、
平日の朝イチで行ったのにも拘わらず、会場を取り巻く十重二十重の行列に恐れをなして、
観ないで帰って来たことを思い出す。
この時ほど、メディアの力を思い知らされたことは無かった。
日テレと、確かNHKも特番を組んでいた気がする。

今回はそれほど混んでいるという話は聞こえてこない。メディアにも全然取り上げられていない(笑)。
ましてやこの時期だしな。
チケットはディスカウントで1,200円で購入。


会場はテーマで4つに区切られており、全部で70点強(模型等も含めて)が展示されている。
良かったものを順に挙げていくと・・・・、

〔猫〕
六曲一双の屏風形式。基本墨ベースに若干の水彩による彩色。
猫の毛並みの表現も見事。全体が左下から右上に上がっていく画面構成にリズムがあり、
魚を奪ってじゃれる姿が活写されている。観ているこちらも楽しくなってくる。
右隅には小海老が描かれているのだが、これがまた素晴しい描写力。

アージュ・メカニック〕
大勢の子供達が、(おもちゃを使って)遊んでいる様子なのだが、
「え?これって、最近のJ POP Art?!」と感じさせる仕上がり。
子供も”乳白色”で可愛く描かれており、彼の、猫と子供好きが良く判る。

〔イブ〕
リトグラフや鉛筆画も含め7点が展示されているのだが、何といっても油彩。
顔カタチが常日頃のフジタ的なものから外れ、{ラファエル前派}的な面立ちなのだ。
この顔好き。思わず帰りにポストカードを買ってしまった。

好き嫌いでは無いが〔ライオンのいる構図〕〔犬のいる構図〕〔闘争Ⅰ〕〔闘争Ⅱ〕は
四枚並べられると圧巻だ。
ただ、側に寄って観ると痛みが激しい。相当な修復だったのだろう。
片や乳白色の人が多い絵、方や黄色の人が多い絵。
方やふさふさした獣が多い絵、方やつるっとした皮膚感の犬の多い絵と、
並べて観ると、その差が良く分かる。

閑話休題
〔闘争〕の中で、極め技が幾つか描かれている。
”腕ひしぎ””ギロチンチョーク””方羽締め”の三つなんだけど、
何れも極まっているように見えんのだよね。


物量といい作品の質といい、かなりの高濃度。
気が付いたら、一時間半があっと言う間に経っていた。
用事が無ければ、もっとこの空間に居たかった。
今年観た中でも、1・2番の質の高さ。必見の展示会。