RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

鮨處 はる駒@神保町:寿司

親方の田島さんが『鶴八』の暖簾を先代に返したのが昨年末。

できるだけ早く自分の店を出したい、とのことも
常連はやれ通い慣れた神保町から出てくれるな、などと
勝手にかまびすしいらしい(笑)

その時点では家作の目処も無く、さてどうなることやら
の言いっぷりも、蓋を開けてみれば、本年7月にははや開業の運び。

場所は旧店からは目と鼻の先。
『焼肉処 三幸園』の脇の(やはり)路地を入ったところ。


白木の引き戸を開けると
真新しい木の香りがぷ~んとする。

店主ご夫妻は「もう慣れた」とのことだったけど
たまにしか訪問しない身にはなかなか良い香り。


店内は以前よりも広くなり、奥にはテーブル席。
厨房を囲むL字型のカウンターは八席ほどか。

席間も多少広がり、横に座った人に気を使わなくて良いのは有り難いし、
なによりも後ろにぐっと椅子を引けるのは嬉しいかも。


訪問当日は我々の外にも十人ほどの来客となかなかの繁盛ぶり。
中には毎週土曜に訪う夫婦もいるらしい。

予約の電話もひっきりなし。黒電話のじりりんとする鳴動がレトロ。

ただ打ち続く台風の影響で魚の入荷が思うに任せないこと、
豊洲移転当初の11日以降は場内外での動線や交通事情が不安なので
仕込みがランチには間に合わないかも、と
女将さんが都度都度丁寧な説明。

自分にはあまり関係の無いハナシと思っていたけど色んな処で影響出てるのね
豊洲問題。


さはさておき、厨房内に掲げられた白木の札を頼りに
つまみと握りを注文。

以前には無かった《沢庵巻き》や《胡瓜巻き》の札がある。


貝類は《小柱》と《はまぐり》の二種のみ。
白身も二種のみで、うち一つは《鯛の昆布〆》。
水分が適度に抜け旨味が凝縮され、昆布の味も乗り移り上々。

今日は《蛸》が殊の外素晴らしい。
煮足りないと硬いし、煮過ぎると味は抜けぐずぐずになるとのことだったけど、
入歯でも噛み切れるほどさくりと歯が通り
仄かな塩味、蛸のすっきりした香りも冴える。
最後は山葵で握ってもらう。

穴子》も口の中で蕩ける蕩ける。
普段は握りは一貫づつを旨としているものの、これだけは二貫を。
休んでる間はツメはどうしてたんですか?と問うと、
種類に応じて冷蔵したり、冷凍したりで保存の由。

穴子を巻きましょうか、とのことだったので
一も二も無くお願いすれば、酢飯までふわふわはらはらと解け
絶妙の口当たり。

小肌は事前予約客に一貫のみ。
当日の来訪者がないんですか?と尋ねても
ないんです、と
相変わらずにべもない。
仕込みはしてるんだろうけど、食べ頃じゃない、って
何時もの対応なのね。


それ以外にも刺身で食べ握りで食べと
満足満足。

〆には蛤の煮汁のお吸い物が出され
これはもう絶品。

お酒もしこたま呑んだので
払いの方は一人あて2.5万円ほども、
この多幸感には当然過ぎる対価。