紙でできたニセモノの月であっても、
信じて見続ければ、やがてはホンモノに変わるという
ココロ温まるストーリー。
信じて見続ければ、やがてはホンモノに変わるという
ココロ温まるストーリー。
翻って、まるっきり同じ邦題を持つ、
本作の場合はどうだろうか。
本作の場合はどうだろうか。
ただ、そこに到る経緯、夫との心のすれ違いや
その隙間を例えば買い物等で昇華しようする行為が
尺の関係だろう、あまりにもさらりと描かれすぎ、
彼女が持つ心の闇の深淵まで、窺い知る描写にはなっていない。
その隙間を例えば買い物等で昇華しようする行為が
尺の関係だろう、あまりにもさらりと描かれすぎ、
彼女が持つ心の闇の深淵まで、窺い知る描写にはなっていない。
また『光太』と初めて関係を結ぶ夜にしても
その振る舞いが性急過ぎ、唐突感は否めない。
その振る舞いが性急過ぎ、唐突感は否めない。
その後はお決まりの、不行状な世界への堕ちて行くのだが、
観ている側としては、何時どんな形で悪事が露見するのだろうかと
胃がきりきりするほど気が気ではない。
観ている側としては、何時どんな形で悪事が露見するのだろうかと
胃がきりきりするほど気が気ではない。
しかしそんなことは無視するように
スクリーン上の主人公は憑かれたように金を浪費し、
顧客の金を着服することを繰り返す。
スクリーン上の主人公は憑かれたように金を浪費し、
顧客の金を着服することを繰り返す。
思いもしないことから(ある意味、予定調和とも言えるが)、
破綻は突然訪れる。
破綻は突然訪れる。
ただ、その後の行動と言い分が、本作の白眉。
特にラスト直前のシークエンスは颯爽とし、惚れ惚れとする疾走感、
これで終わっていればどんなに素晴らしかったろうと、残念でならない。
これで終わっていればどんなに素晴らしかったろうと、残念でならない。
言い分についても、
些細なきっかけで、自分達もこのように変わってしまう、
実は危ういタイトロープの上を渡っていることを
改めて気づかせてくれる。
些細なきっかけで、自分達もこのように変わってしまう、
実は危ういタイトロープの上を渡っていることを
改めて気づかせてくれる。
評価は☆五点満点で☆☆☆☆。
ここでの「紙の月」は
いみじくも本人が言っている通り、
最後までニセモノであり、泡沫のシンボル。
いみじくも本人が言っている通り、
最後までニセモノであり、泡沫のシンボル。
原作のプロットだけを借り、細部は相当の脚色を施しているようだが、
それはそれで悪くない。
それはそれで悪くない。