RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

濱壹@浜松町:和食

文化放送】と【浜松町スクエアステューディオ】の間の路に入る。
おそらく系列店と思われる『鯛樹』を左手に見ながら歩を進め
やはり同系の『本濱』の角を左折する。

先に挙げた二店は、営業中の標柱や暖簾が出されているのに比べ
標題店は一般の家の表札のように店名が表示され
そこにスポットライトが当たっているだけとそっけない。

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フリの客を拒絶するようでもあるし、初めての客は着くのに
迷ってしまうだろう。

店内は複数人が入れる個室が三部屋と
四人が掛けられるカウンター。

が、カウンターと言っても、目の前には壁が広がるばかりで、
料理は離れた場所に在る厨房から、しずしずと運ばれて来る。


前日に予約の電話を入れ、あっさりと通ったので
空いているんだろうかと思っていたら、
うち二つの小部屋は接待と思われる複数人連れが20時近くに
相次いで訪れ、成る程、そ~ゆ~使われ方なのね。

電話予約の際に、9,000円・12,000円・15,000円の
コースからの選択を確認されるが、初めてのことでもあるので
一番安い料金としておく。

が、結果的には、それでも相当に満足度が高かった。


先ずはビール(《ヱビス》 700円)を呑みながら暫し待つ。

と、何か液体の入ったグラスと
氷がぎっしりと詰まった枡が運ばれ、
中から瓶入りのラムネが出される。

ラムネをプシュと開け、グラスの中に注ぎ入れる。


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《食前酒》ジンのラムネ割り。

共にキンキンに冷やされているので、
僅かにシャーベット状になっている。

ラムネの下手な甘みと、ジンのピン張った辛さが
口の中で一体になる。


そしてお運びの人が言うことには、
「今日のお料理のテーマは、夏祭りです」
?。ど~ゆ~ことだろ。
確かにラムネは、夏祭りの定番ではあるが・・・・。


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《すりながし》

雲丹が豪勢に盛られている。
今が旬の濃厚な味わい。

すられている魚はヒメチ。四国方面の呼び名のようだ。
芽葱・オクラ・紫蘇が添えられ、中には硬く炊かれた米も入っている。
何れもさっぱりとし、食前酒共々胃が活性化し食欲が増す。


飲み物は中途からワインに切り替える。
アルザス リースリング 5,800円》の表示がある一本。
自分的には、お誂え向き。


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《焚き合わせ》

蛸・オクラ・パプリカ・茄子。

蛸は柚子胡椒で和えられ、軟らかく煮上がっているが
鮮烈な辛味が舌の上を駆け抜ける。

茄子は出汁をたっぷり含み、しかし薄味なので、
季節の旨味も十分に味わえる。


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《素麺》

ジュンサイ・伊勢海老・昆布・アオサ。

この出汁もかなり薄め。しかし、歳を取って来ると
これくらいが丁度良いかも。

とろみがついた陸と海の素材を使い、
しかし喧嘩せずに上手く纏まっている。

素麺は軽く結わえられ、見目も良く食べ易い。
勿論、茹でむらなく、しっかりとコシのある口当たり。

出汁には氷も添えられ、よく冷えた一品。


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《お造り》

キジハタ・ワラサ・鯵・鰹・牡蠣。

何をおいても、鰹が素晴らしい。
脂の乗りはさほどでもないが、藁で炙られ
薫香と併せてすっきりと頂ける。

牡蠣も柑橘系で〆られ、表面の色は変わっているが、
生臭さは微塵も無く、海のミルクらしい濃厚な旨味だけが素直に味わえる。


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《煮物》

鯛煎餅が下に敷かれ、其処から泡が湧きあがる。
炙った獅子唐を開いて、白身魚のすり身が詰まっている。

とろみのある出汁自体は、やはり薄味。

獅子唐からは仄かな苦味と辛味。

舌触りの良いすり身が、口の中ではらはらとほどけて行く。


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《鯛の塩釜》

塊りのまま運ばれ、目の前で木槌で割るパフォーマンスつき。

鯛自体は桂剥きの大根で覆われ、塩分が沁み過ぎぬよう調整されている。

それにしても、この身の厚みはどうだろう。

部位はカマ下の脂が乗っている腹部。

折敷に盛られただけで透明な脂がゆるゆると流れ出す。

ほふほふしながら口に入れれば、
ふっくらほっこり。塩梅も丁度良し。

これは美味しい。


次に出されたのはこちら、花火があしらわれ、
確かに夏祭りらしい意匠だ。

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紙をお取り下さいと促され、と下からは、
おお、金魚すくいだ!
ポイもきちんと置かれている!!

ポイの上には、赤・黒の金魚が泳ぐ。

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金魚の下の茶巾は、ち鯛と鶏レバー。
何れも素材の味を生かす薄味で纏まっている。

トマトはカプレーゼ様。こんな供し方は珍しい。

鬼灯からは玉蜀黍が転がり出す。
しかし、芯は餅。コーンが表面に巻かれ嬉しい細工だ。

手まり寿司も白身が厚く纏い、食べでがある。

まさに夏祭り!!!


食事は、おにぎりの茶漬けとお漬物。

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タレが塗られた表面はカリッと焼き上がり
芳ばしい薫り。

やはり薄味の出汁が張られている。

三つ葉酢橘、松茸も入り、そちらからも
良い薫りが漂って来る。

土瓶蒸しの応用な感じだが、
おにぎりを崩してさらさらとかき込めば、
立派に茶漬けに変容する。


お漬け物は胡瓜・なめこ・山芋。
バリエーションのある食感の素材が揃えられ、
工夫されているなぁ。


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《利休餅》

デザートの一品目。
てっきり葛餅かと思ったら違うと言う。

素材は胡麻

なので胡麻豆腐に近いのだろう。
相当に粘度は高く、切り分けるにも一苦労。
胡麻胡麻しているかと思えば、黒蜜の方がよほど
強く存在を主張している。


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《かき氷》

デザートの二品目。

これこそ季節の一品。

その供され方を一見し、思わず笑ってしまった。
だって容器は、屋台で見かけるチープな紙製のそれ。

しかし、中は豪勢。メロンはたっぷり。
西瓜のシャーベット。
更に氷の一部はメロン製と、どこまでも手が込んでいる。


デザートまで計十品。

十分に夏を堪能できた。

御代は〆て2.7万円。

評価は、高級店基準の☆五点満点で
☆☆☆☆。

目に楽しく、食べれば舌が喜ぶ。
嬉しい料理の数々。

自分的にはまだまだ、食べられる感じだったが、
連れは「お腹がいっぱいになった」と言っていた。


コースの価格差は素材の差とのことで、
品数に違いは無さそう。

しかし、この値段で、この内容。
席の回転も低そうだし、おそらくは系列の『本濱』と
厨房を共通にし、そちらはカジュアル、こちらは高級の位置付け、
材料を融通しながら無駄を省きコスパを上げているのだろうと思われる。

ちなみに、コースは一ヶ月毎に変わる由。
これは楽しみな店を見つけたかも。