標題作は、6月6日の封切りだから
最早、二ヶ月。
ロングラン上映がお得意な【シャンテ】でも
終映となっている。
最早、二ヶ月。
ロングラン上映がお得意な【シャンテ】でも
終映となっている。
しかし、当日の当該館、
席数300の【シネマ1】は四割程度の入りと
「映画サービスデー」ということもあろうが、まだまだ盛況。
席数300の【シネマ1】は四割程度の入りと
「映画サービスデー」ということもあろうが、まだまだ盛況。
そして作品自体も、
洗練された映像に、独特のペーソスを兼ね備えた
大絶賛に近い出来。
洗練された映像に、独特のペーソスを兼ね備えた
大絶賛に近い出来。
集客力の理由が良く判る。
舞台となるホテルの造形が、先ずは見事。
ロープウェーを使わなければ辿り着けないような
辺鄙な場所に在りながらパールピンクを主としたその外観は
周囲の黒々したした無骨な岩肌との対比で、妙に引き立つ。
ロープウェーを使わなければ辿り着けないような
辺鄙な場所に在りながらパールピンクを主としたその外観は
周囲の黒々したした無骨な岩肌との対比で、妙に引き立つ。
映像自体も、ややチープなマット合成やミニチュアを多用し、
場面ごとには色調すら変え、
これが、オハナシの世界であることを著しく強調する。
場面ごとには色調すら変え、
これが、オハナシの世界であることを著しく強調する。
時代的には、第二次大戦前後なので、
ナチス思わせる軍隊やそれにおもねる自国の軍隊の登場、
または、
〔地獄に堕ちた勇者ども〕の『エッセンベック男爵家』を彷彿とさせる
デカダンな富豪一族の描写、
何れもがエキセントリック。
ナチス思わせる軍隊やそれにおもねる自国の軍隊の登場、
または、
〔地獄に堕ちた勇者ども〕の『エッセンベック男爵家』を彷彿とさせる
デカダンな富豪一族の描写、
何れもがエキセントリック。
監督の意識が隅々まで行き渡り、
何処を取っても非の打ちどころの無い
映像美の結晶となっている。
何処を取っても非の打ちどころの無い
映像美の結晶となっている。
更には笑いどころも満載。
ストーリーの鍵となる
{新古典主義}的な絵画〔リンゴを持つ少年〕だが、
ディレッタントである『グスタヴ』に言わせると
「この屋敷にある、これ以外の画は全て屑」なのだが、
では実際にどんな画が並んでいるかと言えば
『クリムト』であり『シーレ』であり、これらが
かなりぞんざいな扱いを受けている。
{新古典主義}的な絵画〔リンゴを持つ少年〕だが、
ディレッタントである『グスタヴ』に言わせると
「この屋敷にある、これ以外の画は全て屑」なのだが、
では実際にどんな画が並んでいるかと言えば
『クリムト』であり『シーレ』であり、これらが
かなりぞんざいな扱いを受けている。
が、現代であれば、その評価の逆転は周知のところで、
それがホテルが次第に古び、その役割を終えようとしていることと重なり
郷愁にも似た可笑しみを醸し出す。
それがホテルが次第に古び、その役割を終えようとしていることと重なり
郷愁にも似た可笑しみを醸し出す。
評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。
学生の頃は頻繁に通っていた新宿の映画館は
近頃はとんとご無沙汰。
近頃はとんとご無沙汰。
特にこの劇場は、
ロビーが狭く開場を待つにも不便だしポイントもつかないしと
良くないことだらけだけど、
それらを犠牲にしても、来て観て良かったと、
ココロから思える一作。
ロビーが狭く開場を待つにも不便だしポイントもつかないしと
良くないことだらけだけど、
それらを犠牲にしても、来て観て良かったと、
ココロから思える一作。